2015 Fiscal Year Annual Research Report
トマト誘発変異集団の高度利用に向けたエキソーム解析手法の確立
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15H06071
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
矢野 亮一 筑波大学, 生命環境系, 助教 (00443044)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | トマト / 誘発変異集団 / エクソーム解析 / 第二世代シークエンス / 変異解析 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度研究においてはトマト・マイクロトム変異集団のエクソームライブラリー調整を実施した。エクソームキャプチャーを伴う第二世代DNAシークエンサーのライブラリー調整では不純物を含むDNAサンプルを用いるとアダプターライゲーション効率の低下やマルチプレックス化における不等分性を生じやすいため、DNA吸着磁性ビーズを用いる通常のゲノムDNA精製に加えて固相カラムによる追加精製を検討した。市販キット(ロシュ社SeqCapezシリーズ)による24plexエクソームライブラリー調整では、キャプチャー前と比較して平均15.8倍のターゲット配列エンリッチメントが確認され、概ね良好な結果が得られた(定量PCRによる5遺伝子平均値)。トマトゲノムの推定サイズは960Mb、全エクソンのサイズは60Mbであるので、理論値(16倍)に近い結果である。ただし、遺伝子によってエンリッチメント率は9倍~20倍の間で振れており、ゲノム領域によってキャプチャー効率に偏りが生じている可能性が考えられた。一方、現状の市販キットでは24plexが限界である。近年、第二世代DNAシークエンサーの配列解読スループットは向上の一途をたどっているため、更なるhigh plex化が可能になると予想される。そこで本研究では、dual index adapterとの組合せによる96plexエクソームキャプチャー・プロトコルを考案し試みた。ターゲット配列キャプチャー時の非特異ハイブリダイゼーションを抑制するHEオリゴを新たに設計するなどしたところ、16.6倍から19.2倍のキャプチャー効率を確認し、24plex系と同等以上の結果を得た。平成28年度研究では、第二世代DNAシークエンサー(illumina Hiseq)によるエクソームライブラリー(24plex, 96plex)のデータ解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24plex, 96plex解析のためのエクソームキャプチャー(分子生物学実験)において良好な結果が得られたことで、エクソーム・シークエンシングのための最低条件はクリアされた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度研究では、第二世代DNAシークエンサー(illumina Hiseq)によるエクソームライブラリー(24plex, 96plex)のデータ解析を実施する。トマトゲノムのレファレンス配列(Heinz 1706品種)を用いてショートリード・アライメントを実施し、各系統、各遺伝子におけるリードカバレッジ深度等のバイアスを調査する。24plexライブラリーはHiseq-2000 1レーンによる解読を、96plexライブラリーは最大3レーンによる解読を予定している。ショートリード・アライメントの結果をもとにvariant callを実施し、個々の系統に生じているエクソンDNA配列の変異をアミノ酸変異情報と合わせて同定し、データベース化する。これらのバイオインフォマティクス解析に用いる情報処理パイプラインはプログラミング言語perlを用いて既に構築済である。エクソーム変異データベース構築後は変異集団において認められるカロテノイド含量差異を生じさせる遺伝的要因をin silicoで明らかにするためのバイオインフォマティクス解析手法を検討する。個々の変異について統計検定を繰り返す手法ではなく、アミノ酸変異の種類を考慮した原因遺伝子同定法を考案する。さらに、webブラウザから研究対象遺伝子の変異アレルを一発検索するための検索アプリケーション・プロトタイプをSQLデータベースと連携したCGIスクリプトにより開発する。
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