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2015 Fiscal Year Annual Research Report

多除草剤抵抗性雑草における急速な除草剤解毒代謝メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 15H06072
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

岩上 哲史  筑波大学, 生命環境系, 助教 (00761107)

Project Period (FY) 2015-08-28 – 2017-03-31
Keywords除草剤抵抗性 / タイヌビエ / グルタチオン転移酵素 / シトクロムP450
Outline of Annual Research Achievements

多剤抵抗性型タイヌビエについて、様々なアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害型除草剤の反応を調査したところ、抵抗性系統はACCase阻害剤に幅広く抵抗性を示すことが明らかになった。これらの抵抗性に関与するタイヌビエの遺伝子を明らかにするため、抵抗性系統で高発現することが知られていたP450遺伝子をイネカルスに導入し、形質転換体カルスのACCase阻害剤感受性を野生型カルスと比較した。形質転換体は一部のACCase阻害剤について顕著な抵抗性を示したため、これらの除草剤抵抗性にはこのP450が関与する可能性が考えられた。形質転換体カルスは一部の除草剤には抵抗性を示さなかったが、タイヌビエ抵抗性系統におけるこれらの除草剤への抵抗性についてはグルタチオン転移酵素(GST)の関与が推定されており、本研究の結果はこれと矛盾しないものであった。
抵抗性系統で高発現するGSTを同定するため、プロテオーム解析を試みたが、解析したペプチドはタイヌビエのreference transcriptomeにほとんどヒットしない結果となり、十分な解析を行うことができなかった。これは使用したreference transcriptomeがリード長が短いシーケンサー(Illumina GIIx)からの出力データを元に構築した精度の低いものであるためと考えられた。そこで、Illumina 2500を用いてRNA-Seq解析を行い、新たなreference transcriptomeを構築した。これについては現在解析中であるが、従来のreference transcriptomeより数多くの遺伝子を含み、また平均コンティグ長などが大幅に改善されたreference transcriptomeとなっている。今後は、本reference transcriptomeを使用してトランスクリプトームおよびプロテオーム解析の両面から抵抗性系統で高発現するGSTを同定する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画から修正、変更した項目もあるが、それを補いうる成果を得ている。
1)タイヌビエの感受性系統と抵抗性系統におけるGSTの除草剤代謝活性の比較については、技術的な問題から遺伝子レベルのアプローチから進める方が適当であると考えられたため、本試験を取りやめ以下の次世代シーケンサーを用いた解析を進めることにした。2)プロテオーム解析は、使用予定であったreference transcriptomeが十分に機能しなかったため、新たにRNA-Seq解析を行い、reference transcriptomeをアップグレードした。次年度はこれを用いることで、候補遺伝子の同定がよりスムーズに行うことができると考えられる。3)候補P450遺伝子の抵抗性への関与の検証については、候補P450遺伝子を導入したシロイヌナズナを使用する予定であったが、抵抗性の付与が植物の生育により判断できるイネを用いて行うこととした。形質転換体の除草剤感受性試験の結果、複数のACCase阻害剤に抵抗性を付与するタイヌビエの遺伝子が明らかになり、当初の想定以上に順調に解析が進行している。4)他の雑草種の除草剤抵抗性に関与するGSTの同祖遺伝子の抵抗性への関与の検討については、本GSTの阻害剤を用いた試験から、関与が棄却される結果が得られた。結果については想定通りであり、本項目は当初の予定通りに進めることができた。5)当初予定していなかったが、異なる化学グループに分類されるACCase阻害型除草剤の感受性試験を行い、多剤抵抗性タイヌビエがACCase阻害剤に対し、幅広く抵抗性を示すことが明らかにした。また感受性系統と抵抗性系統のF2後代を用いた試験を1年前倒しで行い、これらの抵抗性がそれぞれ1つの遺伝子座によって支配されていることを示唆する結果が得られた。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究から、多剤抵抗性タイヌビエは様々なACCase阻害剤に抵抗性を示すことが明らかになった。また同じ作用機構を持つ化学骨格の類似する除草剤であっても、その抵抗性にP450が関与するものと、その他の因子が関与するものに分けられると推定された。前者については、今後同定したP450の除草剤解毒代謝機能を除草剤やその代謝物の質量分析により明らかにするとともに、タイヌビエにおける抵抗性への関与について検証を進めていく。後者については、抵抗性に関わる因子の同定が急務であり、トランスクリプトーム解析およびプロテオーム解析の両面から、タイヌビエで高発現するGSTを同定する。また、多剤抵抗性現象の解明に向け、アセト乳酸合成酵素阻害型除草剤とACCase阻害型除草剤に対する抵抗性機構の同一性を、感受性系統、抵抗性系統の交雑後代においてこれらの除草剤抵抗性が分離するかを検証する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 多剤抵抗性タイヌビエにおける複数のACCase阻害剤に対する反応2016

    • Author(s)
      上舘巧嵩・岩上哲史・春原由香里・松本宏
    • Organizer
      日本雑草学会
    • Place of Presentation
      東京農業大学、東京都世田谷区
    • Year and Date
      2016-03-28 – 2016-03-30

URL: 

Published: 2017-01-06  

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