2015 Fiscal Year Annual Research Report
独立成分分析に基づく超高濃度レアアース泥の生成機構の解明
Project/Area Number |
15H06144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安川 和孝 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00757742)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋資源 / 地球化学 / 岩石・鉱物・鉱床学 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本の排他的経済水域 (EEZ) で近年発見され,新規レアアース資源として有望視されている「超高濃度レアアース泥」の生成機構を,地球化学データセットの多変量統計解析に基づき解明することを目的とする.平成27年度には,平成27年3月に実施されたMR15-E01航海で南鳥島周辺EEZから採取された堆積物試料262試料について,ガラスビード法を用いた蛍光X線分析装置 (XRF) による主成分元素分析およびフッ酸-硝酸-過塩素酸の混合溶液による酸分解法を用いた誘導結合プラズマ質量分析装置 (ICP-MS) による微量元素分析を実施し,合計43元素の高精度化学組成データを取得した.さらに,同海域から採取・分析された既存試料のデータと統合することで,全829試料から成る大規模な化学組成データセットを構築した. この829試料x43元素から成る化学組成データ行列に対して,独立成分分析による多変量統計解析を実行した.その結果,南鳥島周辺EEZの堆積物の化学組成は,統計的に独立な5つの成分から構成されていることが明らかとなった.抽出された各成分の地球科学的解釈は予察的な段階であるが,レアアース濃集を伴う生物源リン酸カルシウム成分や,Co, Ni, Cuなどの金属元素を伴うマンガン酸化物成分などが対応すると考えられる.こうした有用元素の濃集に関与する成分の化学的特徴や空間分布の特徴は,海底における元素濃集機構を解明する上で,非常に重要な制約条件となりうる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究について平成27年度は,解析対象とする堆積物試料の全岩化学組成分析が実施され,262試料の多元素組成データセットが新規に構築された.さらに既存データと統合して,829試料・43元素の大規模高次元データセットに独立成分分析を適用し,深海底におけるレアアース濃集に関与する地球化学的独立成分の抽出に成功した.本成果は,平成28年5月に千葉で開催される日本地球惑星科学連合2016年大会において発表を行うこととなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,解析対象とする化学組成データセットをさらに拡充しつつ,各独立成分を代表する少数の試料を選定し,詳細な鉱物組成分析や元素マッピング等を行い,各成分についてより具体的かつ詳細に地球科学的特徴を把握する.それらの結果を統合し,超高濃度レアアース泥の生成機構の解明につなげていく予定である.
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Research Products
(1 results)