2015 Fiscal Year Annual Research Report
Exome解析を用いた副腎白質ジストロフィーの表現型規定因子の解析研究
Project/Area Number |
15H06160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松川 敬志 東京大学, 医学部附属病院, 学術支援専門職員 (80755760)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 副腎白質ジストロフィー / Exome解析 / 遺伝子表現型連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
副腎白質ジストロフィー(Adrenoleukodystrophy:ALD)は、ABCD1を原因遺伝子とするX染色体劣性遺伝性の神経変性疾患であり、中枢神経障害(炎症性脱髄)を認める疾患であり、時に副腎不全を来す。多彩な臨床病型を呈するが、遺伝子表現型連関は明らかではない。本研究では特に原因遺伝子ABCD1の発現産物が局在するペルオキシソーム機能の多様性が関与する可能性を考慮し、ペルオキシソーム機能に影響を与え得る遺伝子群に着目し、ALD症例のExome解析で得られた解析データを用いて、表現型と関連した遺伝的因子の解明を目指すことを目的とした。 日本人ALD症例79例、in-houseコントロール503例のExomeデータを用いて、ペルオキシソームで機能する98の遺伝子群の中で、既知の病因変異, nonsense, frameshift, splice sites mutations, dbSNP 135に登録のない新規non-synonymous variants (SNV)の数は、ALD症例において79例中38例において認められた。また、コントロール503例中279例に認められた。新規variantsにおいては、サンガーシーケンスでもvarinatsが存在することを確認した。このような機能に影響を与え得るvariantsは多くの症例に認められることが今回の解析で判明した。今後表現型毎にvariantsを有する症例の数に差があるかを検討していくことが重要と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ALD症例及び、コントロール症例のexomeデータの解析を、特にペルオキシソームで機能する遺伝子群に注目して、精力的に行うことができた。またexome解析で検出されたvariantsの中には、false postiiveも含まれると考え、サンガーシーケンスによる確認も行うことができた。 今後は、表現型毎に差があるvariantsの有無を精力的に探索していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はペルオキシソームで機能する遺伝す群で検出されたvariantsが表現毎に差があるかを検出していく。パスウェイ解析として、エーテルリン脂質の生合成に関わる遺伝子群、コレステロールの生合成に関わる遺伝子群にも着目していく予定である。 また、表現型が異なる複数の発症者が存在するALD家系が存在するため、これらの家系にも着目し、例えば同一家系内の症例で、予後不良である大脳型で有するが、緩徐進行性のAMNでは有さないといった表現型毎に差のあるvariantsの検出を検討する。 さらに、ALD症例の症例数、コントロール症例が多いほど、表現型修飾を規定する因子を同定するための検出力が上がることから、さらなる症例の収集を目指す。
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