2015 Fiscal Year Annual Research Report
確率的階層型凸最適化アルゴリズムの構築と高精度信号復元への応用
Project/Area Number |
15H06197
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 峻佑 東京工業大学, 像情報工学研究所, 助教 (60752269)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 確率的最適化 / 階層型最適化 / 凸最適化 / 信号復元 / 画像復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
「確率的階層型凸最適化アルゴリズムの構築と高精度信号復元への応用」に関して様々な検討を行った。その中から,主要な成果である「1.確率的近接分離最適化に基づく画像復元アルゴリズム」と「2.複雑なデータ忠実性制約が課された信号復元問題を効率的に解くアルゴリズム」について詳述する。両者とも研究目的を一部であるが既に達成する手法である。 1. 従来の凸最適化に基づく画像復元アルゴリズムは,各反復において画像の観測過程を記述する行列(モデル行列と呼ぶ)と変数ベクトルの積を複数回計算する必要があった。これは,モデル行列にスパース性等の特殊な性質/構造を仮定できない場合に,その計算オーダーが画素数の二乗に相当する=計算量が莫大であることを意味している。提案法は,そのような性質/構造を仮定できないモデル行列(例えば,圧縮センシング復元におけるランダム観測やコンピューター断層撮影法に伴うラドン変換等)を扱う場合に,各反復において,ランダムに選ばれたモデル行列の一部の行と変数ベクトルの計算だけを行う設計になっており,格段に効率的な画像復元を実現する。 2. 信号復元問題は,一般に「復元信号に対する先験的性質(スパース性等)を評価する正則化項」と「観測データとの忠実性を評価するデータ忠実項」の和を最小化する最適化問題に帰着される。その際、このふたつの項のバランスを決定するパラメータの適切な設定が重要な課題となる。これを解決する手段としてデータ忠実項を制約条件として記述する方法があるが,最適化の難度が大きく増すことが問題となっていた。提案法は,ハイブリッド最急降下法と呼ばれる階層型不動点アルゴリズムの非自明な実現例となっており,従来法では解くことのできなかった「データ忠実性制約付き信号復元問題」の最適解を,劣勾配射影の不動点特徴付けを介することで,効率的に求めることができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
主な研究実績として取り上げた「確率的確率的近接分離最適化に基づく画像復元アルゴリズム」に関しては,主な結果を信号処理に関するトップカンファレンスである ICASSP2016 で報告済みであり,「複雑なデータ忠実性制約が課された信号復元問題を効率的に解くアルゴリズム」に関しては,信号処理のトップジャーナルである IEEE Transactions on Signal Processing に掲載されている。その他にも,研究課題に関連する成果(多チャネル画像の効果的な復元,行列ランク/核型ノルム最小化の効率化等)を ICASSP2016 や ICIP2015(画像処理のトップカンファレンス)で報告している。
|
Strategy for Future Research Activity |
複雑なデータ忠実性制約が課された信号復元問題を効率的に解くアルゴリズムに関しては,広いクラスの最適化問題を対象にした厳密な収束解析を与えることに成功しているが,確率的確率的近接分離最適化に基づく画像復元アルゴリズムに関してはまだ収束解析が不完全であるため,引き続き,本研究課題の中で取り組んでいく予定である。新たなアルゴリズム・応用に関する検討も積極的に行う。
|