2015 Fiscal Year Annual Research Report
輝度を考慮した心地良い暗さ明るさ範囲に関する研究-建築的人間的要因の検討―
Project/Area Number |
15H06211
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小崎 美希 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (50754420)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 暗くても快適 / 輝度分布 / 飲食空間 / ロジスティック回帰分析 / 恒常法と調整法 |
Outline of Annual Research Achievements |
光環境評価に用いられる「明るさ」「暗さ」「まぶしさ」などの心理評価のうち、「暗さ」に平成27年度は着目して実験を行った。どのような用途空間、行為、照明方式で「暗くても快適」な空間であるかを明らかにするため、予備調査を行った。光環境の評価を心理評価と物理評価をあわせて実施するため、実験方法を検討した。実験者が設定した光環境の暗さかを評価させる「恒常法」か、評価に応じて光の量を被験者に調整してもらう「調整法」が適切かを判断するため、予備実験を行った。恒常法でも調整法でも物理環境に大きな差がないことが確認された。本実験では暗いと暗くない、不快と快適の境目を検討したいと考えているため、調整法を採用した。 まず一般的に用いられている暗い空間を、建築雑誌を中心に調査した。商業建築の中でも飲食空間が「暗い」空間が多く、実験対象の空間用途を飲食空間とした。飲食空間においての「行為」としては、飲む、食べる、くつろぐ、だんらんの4行為を設定した。 空間の光環境が均一の場合と不均一の場合での違いも同時に検討するため、照明方式を複数設定した。机上面にのみ光を当てるダウンライト、壁面を中心に光を当てる間接照明、空間全体を均一に照らす全般照明の計3条件とした。4行為、3照明方式に関し、「暗い」から「暗くない」まで光量を増加させる上昇系列と、逆に光量を減らす下降系列に関して調整してもらった。「不快」・「快適」も同様に行った。光環境の物理評価のため、机上面照度や壁面照度、被験者から見た輝度分布などを測定した。 ロジスティック回帰分析を行い、各行為、各照明方式において暗くても快適な範囲が存在することが明らかになった。行為に応じて視対象が変化するため、評価基準とされる物理評価も異なることも示された。 飲食空間以外でのくつろげる暗い空間を検討するため、リビングでの薄暗い空間に関する調整法を用いた実験を追加して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暗い空間の調査や恒常法か調整法かを検討するための予備調査・予備実験に想定よりも時間がかかってしまった。当初は光環境の認識に関する実験と快適性に関する実験を本年度行う予定であったが、一回の実験時間と目の順応時間、照明の出力の問題を考え、光環境の認識に関する実験のうち、「暗さ」に関する実験を中心とした。合わせて快適性に関する実験も行い、また来年度行う予定であった均一・不均一分布の実験も組み込んで実験を行った。実験の内容を来年度実施予定の分も含め、実験計画を組み直す形となった。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べた通り、実験計画を多少組み直したため、本年度は光環境の認識に関する実験のうち、明るさとまぶしさに関して快適性実験を含めて行う。行為や照明方式などは暗さの実験と同様とする。また内装材を変化させた場合の実験も行うこととする。被験者に高齢者を含めて実験を行うことで、年齢の違いに関する検討も行う。
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