2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06225
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
須貝 章弘 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70758903)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / 病態モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
分子・細胞レベルでみられる生体の恒常性を維持する機構に反し、神経変性疾患では特定の蛋白質が蓄積する。致死的な神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症では、選択的に侵される運動神経細胞内にTDP-43の蓄積を認め、病態との密接な関連が指摘されている。TDP-43はRNA結合蛋白質のひとつであり、その発現量の変化は細胞機能に広範な影響を及ぼし得るが、実際には自己蛋白量調節機構によりその発現量が厳密に制御され、その恒常性が維持されている。TDP-43の蓄積はこの恒常性維持機構の破綻を意味しており、これを反映して構築された実験モデルは、筋萎縮性側索硬化症の病態解明および治療薬開発の基盤になることが期待される。 本研究ではこれまでに、このTDP-43の調節機構に対しアンチセンス核酸を用い配列特異的に介入することにより、マウス脊髄組織およびヒトiPS由来神経細胞において、内在性TDP-43の過剰発現の誘導に成功している。このTDP-43の恒常性維持機構が破綻した細胞において、TDP-43 C末断片の増加、TDP-43細胞内局在の異常などの疾患類似の病態を見出した。このことは、TDP-43の自己制御機構の乱れにより、筋萎縮性側索硬化症の類似病態が形成し得ることを示唆し、さらに本疾患の病態解明および治療薬開発のための有用なモデルとなり得ることを示している。 今後は、この疾患モデルのさらなる解析と、治療薬開発のための基盤となるべく、簡便かつ高感度な病態指標の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究は進行し、その解析から一定の結論を得ることができた。学会・論文発表のための準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに確立された疾患モデル作製手法を用い、筋萎縮性側索硬化症の病態研究をさらに継続する。動物モデルにおいては、より長期の変化を解析する。さらにヒトiPS由来神経細胞の実験系を活用し、簡便かつ高感度な病態指標の確立を目的に研究を遂行する。
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