2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06251
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
四之宮 佳彦 静岡大学, 教育学部, 講師 (40755930)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | Veech群 / Veech曲面 / Teichmuller空間 / Teichmuller曲線 / Riemann面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,Veech曲面の幾何学的量とVeech群の型との関連を解明することである. 平坦曲面が与えられたとき,そのVeech群を決定することは非常に困難なことであるとされている.Veech群はフックス群であることが知られているが,逆に,どの様なフックス群がVeech群として実現されるのかという問題も未解決である.本研究ではこれらの問題にアプローチするために,Veech曲面に対して容易に計算できる幾何学的量であるモジュラス比によりVeech群のフックス群としての型を上から評価する評価式を与えることを目標にしている. 先ずは,算術的Veech曲面に対して評価式の構成を目指した.算術的Veech曲面のトーラスの分岐被覆としての被覆度によりVeech群のフックス群としての型を上から評価する評価式を与えることには成功しているが,その評価式は非常に荒く複雑であるため,より良い評価式に改良する必要がある.また,被覆度とモジュラス比との関係を明らかにする必要もあるがこれも非常に難しい問題である.これらの問題を解決するためには,平坦曲面上の閉測地線同士がどのように交わるのかを明らかにする必要があると考えた.平坦曲面上の閉測地線同士の交わりについて考察している文献にあたりその手法の改良を目指した.文献では種数2の平坦曲面のみを対象にしているものが多く,その手法も種数2の場合特有の性質を多く用いていた.この手法を一般の平坦曲面の場合に拡張し,Veech曲面の場合に関してより良い性質を解明することを目指してたが,一般の平坦曲面の場合への拡張も未だ完成していない.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は考察対象を算術的Veech曲面に限定して目的の評価式の構成を目指した.これまでの研究で算術的Veech曲面のVeech群のフックス群としての方を,トーラスの分岐被覆としての被覆度で評価することには成功している.しかしその評価式は荒く,複雑なのでさらに改良していく必要がある.また,被覆度による評価式を本来の目的であるモジュラス比による評価式に結び付けることにも未だ成功していない.そのため現在までの進捗状況を,(3)やや遅れていると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
得られている評価式をより良い評価式にするためには,平坦曲面上の閉測地線同士の交わり方を明らかにする必要があると考えている.これを明らかにするために,種数2の場合に限り閉測地線同士の交わりを研究している文献にあたり,その手法の一般の平坦曲面への拡張を目指していく.閉測地線同士の交わり方を解明することで,Veech曲面の円柱分解がどのようになされているのかをより詳細に解明でき,目的の不等式の構成を達成できると考えている.
|