2015 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽菌-細菌モデル共生系の構築とその相互作用機構の解明
Project/Area Number |
15H06252
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
森 智夫 静岡大学, 農学部, 助教 (80536516)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | 木材腐朽 / 細菌叢 / 防カビ剤 / 共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
安定的な木材腐朽菌ー細菌共培養系を確立するために、菌床を自然界の様々な場所に所定期間放置した後にサンプリングし、種々の条件下で木粉に継代培養を行い、安定的に高い木材腐朽率を示す共培養系の選抜を行った。その結果、腐朽菌単独の場合に比して有意に重量減少率が向上した共培養系を複数得ることに成功し、自然界に木材腐朽菌と細菌が共存する事で木材分解を効率的に行う機構が広く分布している可能性が示唆される結果を得ることが出来た。また、これら共培養系では、それぞれホロセルロース、リグニンあるいはその両方の分解性が向上しており、細菌叢によって異なる機構が存在する可能性も同時に示された。この時、16S rRNA遺伝子による細菌の多様性を解析したところ、細菌叢の多様性は低下しているようであった。 一方で、継代の過程で木材腐朽が著しく低下する減少が観察された。これは腐朽菌以外の糸状菌が自然界より菌床中に混入しており、木材腐朽菌による木材腐朽を大きく阻害していることが原因であることを明らかとした。共培養系をチアベンダゾールのような防カビ剤などの処理により混入真菌の生育を阻害することで、継代による共培養系の木材腐朽能の低下を防げることを明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、比較的安定して高い木材腐朽能を示す木材腐朽菌ー細菌共培養系の継代法を確立できたと考えており、また、共培養系によって複数の腐朽力の上昇パターンを示しており、モデル共生系を概ね確立できたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
共培養系の継代を継続し、細菌叢の変動を観察するとともに、木材成分の分析を行うことで、木材分解傾向の安定性を確認する。同時に、共培養系特異的な分解産物を特定し、木材腐朽菌純粋培養系あるいは共培養系より作出したメタゲノムライブラリに分解産物を加えることにより、木材腐朽菌および細菌間の木材腐朽における相互作用機構の解明を目指す。
|
Research Products
(1 results)