2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06262
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 智之 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (00748345)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | ベルグマン核 / モンジュ・アンペール方程式 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏極多様体がスカラー曲率一定のケーラー計量を持つこととそれが幾何学的不変式論に由来するK安定性と呼ばれる代数的な条件を満たすことは同値であると予想されてきた。この予想は実際ファノ多様体の場合正しいことが2012年に証明された。我々は一様K安定性という従来よりも強い概念を導入して一般の場合を考察した。その結果、ファノ多様体などのクラスに対しては、計量が存在するとき実際にこのようなより強い条件が成り立っていることが分かった。また、一様K安定性がエネルギー汎関数の増大条件に対応していることを示し、一般の偏極多様体に対しても有効な変分法によるアプローチを提案した。当該年度はこれらの結果を2本の論文にまとめた(http://arxiv.org/abs/1504.06568, http://arxiv.org/abs/1603.01026) 。前者については既に論文雑誌に投稿中である。これらは全てS.Boucksom氏(Ecole polytechnique)とM.Jonsson氏(Michigan University)との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
かねてから進めていた共同研究について2本の論文をまとめ、一区切りをつけることができたからである。さらに正則ベクトル場を持たない一般の偏極多様体についても定スカラー曲率ケーラー計量が存在すれば一様K安定性が成り立っていることが Robert J. Berman, Tamás Darvas, Chinh H. Lu: Regularity of weak minimizers of the K-energy and applications to properness and K-stability (http://arxiv.org/abs/1602.03114)によって示されるなど、我々のアイデアは周辺を巻き込んで発展しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
多様体が正則ベクトル場を持つ場合を扱えるようになることがひとつの課題であったが、これについては一定の理解が得られつつあるので、今年度中に論文としてまとめたい。また安定性と自己同型群との関係についても整理すべきことが残っている。 一方で、計画書に述べたように将来的にはベルグマン核やモンジュ・アンペール方程式によって多様体の退化や縮小の様子そのものを調べたいという考えがあり、今年度はそのための準備を進めてゆきたい。まずは向井-梅村による3次元の例など具体的な退化で実験をする予定である。
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