2016 Fiscal Year Annual Research Report
Invocating Responsibility of International Organizations
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15H06302
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 陽平 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30760532)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 国際機構 / 責任 / 裁判権免除 / 人権アプローチ / 代替手段提供義務 / 国連特権免除条約 / 国連憲章第103条 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、「国際機構責任の追及メカニズムの研究」(以下、本研究)実施の最終年度であった。この二年間を通じて、主として、国際機構の国際違法行為責任が発生した(と主張される)場合に、被害者が利用することのできる責任追及メカニズムの研究を行った。報告者のこれまでの研究が、責任発生段階に関するものであったのに対して、本研究は、責任追及段階にフォーカスするものであった。 本研究においては、第一に、既存の国際機構責任の追及メカニズムについて分析を行った。具体的には、国際機構が備える司法的および行政的メカニズムや、アドホックに設置される第三者機関、そして国内裁判所である。国内裁判所においては、国際機構は一般的に裁判権免除を有しており、被害者がこれを利用することは原則としてできない。しかし近年、国際機構が設置する手続の不備を理由に、国際機構の裁判権免除を制限的に解釈するアプローチ(人権アプローチ)が多数の論者によって主張されるようになっている。それらの主張の根拠は、国際機構自身の人権義務に求められることもあれば、構成国が負っている国際人権法上の義務とされることもある。報告者はこの人権アプローチについて、それが盛んに主張されている国連を題材に研究し、少なくとも、国連の裁判権免除を制限的に解釈することは正当化されないという結論に至った。 第二に、本研究では、国際機構の法的責任を追及するメカニズムが備えていなければならない基準について検討した。これは、国際機構の紛争処理手続提供義務というかたちで国際法上の問題として立ち現れる。この義務は、機構が享有する裁判権免除と表裏一体の関係を成す。しかし他方で、この義務は当初、請求者の権利と対を成すものではなかった。しかしながら今日、国際人権法の発展を背景に、それら義務を人権適合的に解釈する余地が生じていることが、本研究を通じて明らかとなった。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)