2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ構造ナノ粒子の配向制御と構造特異的機能の発現
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15H06309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猿山 雅亮 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (50636628)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 半導体 / ナノ粒子 / 電子移動 / 配列制御 / 光電変換 / pn接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
CdSナノ粒子を有機Te化合物によりアニオン交換して得られた約10 nmのCdS/CdTeヘテロ構造ナノ粒子を、電気泳動法を用いてTiO2やFTOの平面基板上に堆積させることに成功した。このフィルムに対して三極セルを用いた可視光電流測定を行い、アノード光起電力が発生することを確認した。p型半導体のCdSとn型半導体のCdTeの組み合わせによるヘテロ構造ナノ粒子において、アノード電流が生じ、カソード電流が生じなかったことから、ナノ粒子内においてCdTe相からCdS相への電子移動が高い効率で生じていることを確認した。 また、新規ヘテロ構造ナノ粒子の創製として、約8 nmのp型半導体CuInS2コアから、4本の長さ約10 nmのn型半導体CdSアームを成長させることにより、CuInS2/CdSナノテトラポッドを選択的に合成することに成功した。光照射後のテトラポッド内部の励起キャリアダイナミクスについて、フェムト秒高速分光を使用して詳細に調べたところ、CuInS2コアの励起電子がCdSアームに移動することを確かめることができた。また、CuInS2コアとCdSアームにおける過渡吸収のブリ―チングでは、どちらもほぼ同じ減衰時間を示したことから、テトラポッドはCuInS2コアとCdSアームの伝導帯下端の位置がほぼ同じであるquasi-typeII型のヘテロ構造をもち、励起電子がテトラポッド全体に非局在化していることを示すことができた。このことを利用し、CdSでは吸収できない長波長の光照射によって、CdSアーム上でRhナノ粒子を光析出させ、Rh/CdS/CuInS2テトラポッドの合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気泳動の条件を検討することによりヘテロ構造ナノ粒子を平面基板に均一に堆積させて安定なフィルムを形成させることができ、種々の光電気化学測定が可能になった。また、新規なヘテロ構造ナノ粒子についても選択的に合成することに成功し、励起キャリアダイナミクスについて詳細に調べることができており、今後集合体としての物性を調査するための重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
電気泳動泳動で作製したナノ粒子フィルムについて、より大きい光電流を得るためには、絶縁層となる有機保護配位子を除去することが必要であり、小さなアニオン分子による配位子交換を組み込むことによって、フィルム全体の抵抗を減少させる。ヘテロ構造ナノ粒子の異方性が集合体(フィルム)の物性に与える影響を確認するため、マイクロマニピュレータを用いた電気化学測定を行い、整流特性などを検証する。 二次元(平面)基板以外にも、三次元基板(粉末など)に対するヘテロ構造ナノ粒子の配向制御を架橋配位子を用いて行い、配向が不均一系触媒活性に与える影響を調査する。
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Research Products
(2 results)