2015 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスは脳の外側手綱核ニューロンを介して咀嚼に影響を与える
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15H06387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大原 春香 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40754726)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はストレスの中で生活している。このストレスが咀嚼機能にどのように影響するのかを明らかにするため、負の情動(例えば、期待はずれ時の感情)に関与することが知られている外側手綱核(LHb)が閉口運動を司る三叉神経中脳路核(Vmes)ニューロンに、どのような様態で投射するのかをより詳細に解明した。(1)LHbからVmesへの直接投射が認められた。(2) LHbの外側部(LHbl)から同側優位に両側のVmesに投射が認められ、(3) Vmesニューロンの細胞体とのコンタクトも認められた。(4) LHbの内側部(LHbm)からは、Vmesにはほとんど投射しなかった。さらに、(5) LHbから、背側縫線核または正中縫線核を介した、Vmesへの間接投射が明らかになった。 以上の結果より、Vmesニューロンが伝達する咀嚼筋筋紡錘や歯根膜の感覚が惹起または修飾している咀嚼運動が、情動関連領野として注目され、負の情動に関わるLHbからの直接制御を受けていることが明らかになった。この投射経路を介して、咀嚼運動が負の情動によっても制御されている可能性が示唆された。さらに、LHbはその外側部(LHbl)と内側部(LHbm)とでは異なる機能を持ち、咀嚼運動は、LHblからより強い影響を受けることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、私が大学院生の時に行っていた研究をまとめ、発展させるものであるので、用いる手技等には既に充分に精通しており、27年度中に大きなトラブルは無くて済んだ。また、事前の研究計画も適切であったと判断出来る。このような状況下での研究であったので、ほぼ予定通りの成果が得られ、国際誌Brain Researchに、Haruka Ohara et al. (2016) Direct projection from the lateral habenula to the trigeminal mesencephalic nucleus in rats. Brain Res 1630: 183-197 に公表出来た。しかし、このBrain Research誌による審査の過程で、実験の追加等を求められたので、次の研究(H28年度の研究)の開始が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の様に、H28年度の研究の開始が少し遅れている。よって、申請前の計画を着実に遂行するように、誠心誠意務めなければならない。特に、疼痛刺激やストレスを動物に与えた後に、c-Fosを発現するLHbニューロンの増減を検索することは、本申請研究の主目的であるLHbからVmesへの投射路の機能の解明に極めて重要であるので、仮に多少の研究トラブルが今後発生したとしても、研究室員の協力を得ながら、早急に成果をうるように努めなければ成らない。
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Research Products
(3 results)