2016 Fiscal Year Annual Research Report
L2 Acquisition of Null Arguments in Japanese
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15H06418
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
木津 弥佳 (田中) ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (00759037)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 第二言語習得 / 空主語 / カートグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、英語、中国語、韓国語を母語とする上級日本語学習者を対象に、主語制約のある述語を用いた場合の文の空主語と、制約のない文を用いた場合の空主語の習得を比較研究することを目的とした。これまでの先行研究を踏まえて、研究期間中に明らかにすべき課題として:1)全般的な習得困難の原因が主語の人称によるものなのか、あるいはインターフェイス領域に関わるからなのか、2)中国母語学習者の空主語過剰生成は母語の影響によるものか、3)英語母語学習者の空主語過剰生成は言語の原理(例えばAvoid Pronoun)によるものか、という3点を掲げていたが、平成28年度は、これらの課題に答えるためにより精査した実験文を用いた調査を行った。実験調査は、空主語の認識と文法性を問うもので、国内8大学、海外5大学で行われ、120名以上の参加者を得、目標人数(各言語30名以上と統制群としての日本語母語話者)を達成して無事終了した。 調査結果は数値化され、統計処理が施された。その結果から、1)学習者は、人称の違いが原因というよりも、インターフェイスに関わる要素が原因で習得が困難であること(但し、韓国語母語学習者は、日本語母語話者の空主語認識・生産に非常に近い)、2)中国語母語学習者は、複数の文のタイプで、「同じ」空主語言語であると言われる韓国語母語学習者よりも有意に日本語母語話者と結果が異なっており、これはMiyagawa (2017)等で議論されているようなカートグラフィーを基盤とした言語間の違いで説明が可能になることが明らかとなった。3)については、調査結果の詳細な分析がさらに必要である。なお、当初計画していた目的語省略については、実施する実験問題数が多くなりすぎ、協力者の負担を考えて項目から省くこととし、主語省略現象のみに焦点を当てた。研究の成果は、国内外の国際学会や学術雑誌、著書を通じて発表していく。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)