2015 Fiscal Year Annual Research Report
PM2.5による喘息様気道炎症発症因子の同定に関する研究
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15H06422
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長岡 憲次郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40752374)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 浮遊粒子状物質 / PM2.5 / 大気汚染 / アレルギー性気道炎症 / 健康影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】時期や場所によって変動するPM2.5の組成がアレルギー性気道炎症に与える影響について調べ、PM2.5の健康影響を評価する。 (1) 岡山及び東京におけるPM2.5の捕集と成分分析 (2) 異なる時期及び地域で捕集されたPM2.5がマウスの喘息様症状に及ぼす影響 (3) 培養細胞を用いたPM2.5曝露による影響 本年度は同時期に捕集した岡山と東京のPM2.5を用いて成分分析を行った。集められたPM2.5の組成は時期及び地域によって異なることが確認された。また、PM2.5を用いて喘息様モデルマウスの条件検討を行った。Balb/cマウスにアジュバントとPM2.5との混合物を腹腔内投与後、点鼻投与による感作を行うことで喘息様モデルマウスの作製を試みた。結果としては卵白アルブミン (OVA) との混合において気道抵抗及び好酸球の増加がみられたが、OVA単独と比較して、有意差は認められなかった。培養細胞を用いた実験では、PM2.5を用いてヒト気道上皮由来細胞に曝露させた後、total RNAを抽出し、cDNAを合成した。リアルタイムRT-PCRにより、アレルギー関連遺伝子の発現量の比較を行った。また、PM2.5曝露による細胞障害性を評価した。これらの結果、PM2.5曝露によって細胞障害性がPM2.5濃度依存的に増大し、そしてTh2関連遺伝子のmRNA発現が変動していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PM2.5の捕集及び成分分析を行った。動物実験は、曝露条件を未だ検討中である。条件を決定でき次第、本試験に移る。細胞実験はPM2.5曝露により、細胞障害性やmRNA発現量が変化することを確認しているが、時期及び地域間の比較は未だ完了していない。 これらのことより、本年度の検討及びそれらの成果は、本課題の当初の計画からやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、PM2.5の捕集と成分分析を行う。捕集を依頼していた東京の装置の仕様変更により、同等のPM2.5が得られなくなったため、今後は岡山のPM2.5のみを集める予定である。動物実験については、Balb/cを用いた条件検討を引き続き行う。もし喘息モデルが作製できなかった場合、より感受性が高いNC/Ngaマウスを用いて行う。その場合、動物購入費用が高額になる可能性がある。細胞実験ではさらに追加で遺伝子発現量を評価する。これら変動がみられた遺伝子について、異なる時期及び地域のPM2.5を曝露した細胞間で比較する。また、細胞障害性を比較することで成分の違いにおけるPM2.5の毒性を評価する。
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[Presentation] PM2.5とタンパク質2015
Author(s)
荻野景規, 長岡憲次郎, 久保正幸, 岡瑛良, 江口依里, 尾長谷靖, 藏満保宏
Organizer
第25回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会 合同開催 第24回産業衛生技 術部会大会
Place of Presentation
周南市文化会館 (山口県周南市)
Year and Date
2015-09-18