2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるレジオネラ症の疫学的傾向と環境因子との関連
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15H06426
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土橋 酉紀 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (00760018)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | レジオネラ症 / 記述疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
レジオネラ症は、レジオネラ属菌を含むエアロゾルや塵埃を吸入することにより発症する疾患であるが、循環式浴槽や冷却塔等レジオネラ菌を含むエアロゾルや塵埃を吸入したことによると感染源を特定できるものはわずかであり、大半の症例は感染源が明らかでない国内単発症例である。そして、その疫学は未だ明確には把握されてはいない。本研究ではレジオネラ症の疫学的傾向の把握と日本における環境因子とレジオネラ症患者発生との関連の検討を行うこととしている。 本年度は、研究開始にあたり、広島大学疫学研究倫理審査委員会(平成28年1月13日付)、国立感染症研究所ヒトを対象とする医学研究倫理審査委員会(平成28年1月18日付)の承認を得た。その後、感染症発生動向調査のシステム上、入手可能であった2006年~2015年データを国立感染症研究所内で患者の個人情報を省いたデータとしてとして加工した後、広島大学公衆衛生学と共有を行った。このデータを元に、疫学的傾向を把握するため、年・月別発生状況、属性、都道府県別の粗罹患率、都道府県別の年齢調整罹患率(性別)、年齢調整罹患率の経時的変化の検討を行った。また、地図上への患者住所(街区レベル以上)のプロットを行った。日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)及び日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づき患者の現職の職業・産業を分類し、職業・産業に関する検討を行った。 また、国土交通省気象庁データを、一般財団法人気象業務支援センターから入手し、気象庁データと罹患率との地域相関について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジオネラ症の疫学的傾向の把握については、記述研究を行い、概ね予定通り遂行できている。しかし、研究の採択から、最短の処理で倫理審査委員会での審査を受けたにも関わらず、実際、研究に着手できたのが1月下旬となり、時間的制限は厳しいものであった。記述研究は、研究計画どおり順調に進んでいるものの、今後、どの程度、細部まで検討するべきか検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、研究を遂行する予定である。まずは、環境因子とレジオネラ症患者発生との関連の検討を行うため、Case-crossover design用のデータセットの作成を行う。 その後、降水量・湿度等環境因子を曝露、レジオネラ患者の発生を結果とした解析疫学を実施し、評価を行う。
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