2015 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎における皮膚細菌叢と皮膚免疫の解析
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15H06428
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩本 和真 広島大学, 大学病院, 助教 (20457237)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / 黄色ブドウ球菌 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)患者では、健常人に比べ皮膚における細菌感染症に罹患することが多いことが知られているが、その病態は十分には明らかにされていない。ランゲルハンス細胞(LC)は皮膚から侵入する病原体を察知し、それらを駆除する免疫担当細胞である。今回、健常人とADでのLCの機能の違いについて検討した。 2015年度は、健常人とAD患者の末梢血から単球を分離し、in vitroでLCを作製し、自然免疫レセプターの発現および黄色ブドウ球菌による刺激後のLCの活性化について検討した。まず、黄色ブドウ球菌を認識するToll様受容体(TLR2)のLC表面上の発現について、フローサイトメトリーで解析した。両群ともにTLR2の発現していたが、発現の程度には差が見られなかった。 次に、TLR2を介したLCの機能に着目した。AD患者由来および非AD由来の黄色ブドウ球菌をそれぞれ作製し、それらを抗原として用いてLCを刺激し、その後のLC活性化について検討を行った。刺激前のLCの活性化マーカー(CD83)の発現はわずかであったが、黄色ブドウ球菌で刺激したLCは優位にCD83が上昇した。また、抗原提示マーカー(HLA-DR)も優位に発現が増強した。健常人とAD患者で活性化の程度に差は見られなかったものの、AD患者由来の黄色ブドウ球菌で刺激したLCは、非AD由来のものと比べ、強い活性化を示す傾向が見られた。ADと非AD由来の黄色ブドウ球菌で異なる免疫応答を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AD患者の黄色ブドウ球菌刺激後のLCの機能は、まだ十分に解明できていない
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Strategy for Future Research Activity |
健常人およびAD患者由来のLCはともに黄色ブドウ球菌を認識し、活性化することが確認できた。次年度以降は、LCがT細胞へ与える免疫学的影響を、細胞増殖およびサイトカイン分泌を中心に解析を進める予定である。
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