2015 Fiscal Year Annual Research Report
インテグレーションフリー・無血清培養系での歯原性腫瘍由来iPSCの誘導と病態解明
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15H06435
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱田 充子 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (30760318)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 歯原性腫瘍由来iPSC |
Outline of Annual Research Achievements |
無血清培地RD6Fを用いて歯原性腫瘍の初代培養を行う。さらに、4つの初期化遺伝子(Klf4、Oct3/4、Sox2、c-Myc)を宿主染色体に遺伝子挿入のないセンダイウイルスベクターを用いてインテグレーションフリー条件とし、本研究室で開発されたhESF9培地を用いた無血清培養条件と組み合わせて歯原性腫瘍由来iPSCを誘導する。複数のクローンをpick up、継代・培養し、各iPSCの未分化性及び多分化能をin vitro及びin vivoの系で評価する。in vivoでは、SCIDマウス背部皮下移植系を用いてテラトーマを形成し、組織学的検討を行い、軟骨、骨、神経、消化管など3胚葉への分化能を比較検討する。また、in vitroでは、胚様体を介した三胚葉への分化能を蛍光免疫染色法(内胚葉:AFP、中胚葉:αSMA、外胚葉:β-tubulinなど)にて評価する。さらに神経堤細胞への分化誘導法を確立するために完全無血清条件でepidermal growth factor (EGF), FGF-2, TGF-b1, BMP2, BMP4, activin A, sonic hedgehog (SHH), Wntを添加するとともに、浮遊培養やhanging drop法と組み合わせて検討を行う。また、誘導した神経堤細胞と未分化細胞を種々の比率で混合し再集合体を形成させ、in vitroでの解析を行うとともに、同再集合体をSCIDマウス背部皮下、腹腔内あるいは腎皮膜下に移植し、歯原性腫瘍の病態モデルを確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、エナメル上皮腫組織を採取し、本研究室で開発した無血清培地RD6Fを用いて初代培養を行い細胞株を得た。そして、宿主染色体に遺伝子挿入のないセンダイウイルスベクターを用い、4つの初期化遺伝子(Klf4、Oct3/4、Sox2、c-Myc)の導入を試みた。健常人の組織と比較し、エナメル上皮腫由来細胞のiPSCの誘導はやや困難であったが、様々な培養条件を検討し歯原性細胞由来iPS様の細胞群を数クローン pick up することに成功した。しかしながら、現在、その細胞群の未分化性や多分化能に関しては検討中である。検討方法としては、各クローンにおける未分化性に関しては、各種未分化マーカー蛋白(Oct3/4、Nanog、SSEA3、SSEA4、Tra-1-60、Tra-1-81など)及び遺伝子発現(Oct3/4、Nanog、Sox2、Rex1、Esg1など)を、RT-PCR法および蛍光免疫染色法にて検討する。多分化能に関して、in vivoでは、SCIDマウス背部皮下移植系を用いてテラトーマを形成し、組織学的検討を行い、軟骨、骨、神経、消化管など3胚葉への分化能を比較検討する。また、in vitroでは、胚様体を介した三胚葉への分化能を蛍光免疫染色法(内胚葉:AFP、中胚葉:αSMA、外胚葉:β-tubulinなど)にて評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、歯原性細胞由来iPSC細胞の樹立をより確実なものにするために、初期化因子導入方法にさらに改変を加えて、樹立できたクローンに関して未分化性、多分化能を評価していく。また、当該研究室でインテグレーションフリー・フィーダー細胞フリー・無血清培養培地(hESF9)を用いて樹立した健常人歯髄細胞由来iPSCおよび国立成育医療センターにて樹立されたヒトiPSC株Tic(JCRB1331)を用いて、歯原性腫瘍の発生母組織と関連が深いと考えられている神経堤細胞への誘導を検討する。基礎培地として無血清培地hESF9からFGF-2を除いたhESF8培地を用いて、EGF, FGF-2, TGF-b1, BMP2, BMP4, activin A, SHH, Wntあるいはレチノイン酸の分化に及ぼす影響を、iPSCを胚葉体培養法、浮遊培養法あるいはhanging drop法を用いて培養し、組織学的検討およびSox 9、Sox10、Slug、Nestin蛋白及び遺伝子発現を免疫組織学的およびRT-PCR法を用いて検討する。また、GSK3β阻害剤,TGFβ阻害剤,SHH阻害剤,EGFR阻害剤,FGF-2シグナル阻害剤の細胞分化に及ぼす影響も検討する。さらに、神経堤に誘導した細胞群と未分化細胞群を様々な細胞数・細胞比で再集合させ、in vitroおよびin vivoにおいて病態モデルとなりうるか検討する。
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Research Products
(2 results)