2015 Fiscal Year Annual Research Report
外国人看護師に対する談話教育のためのコロケーション研究
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15H06438
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
永井 涼子 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (10598759)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 医療談話 / 外国人看護師・介護福祉士 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医療現場で医療従事者間の実際に行われている、医療従事者固有の医療用語を用いた言い回しについて、言語コミュニケ―ション学の立場から調査、分析を行うものである。医療従事者間の報告談話を対象とし「医療現場特有の言い回し」を明らかにし、外国人看護師候補者に対する専門日本語教育、外国人看護師および日本人新人医療従事者の不確かなコミュニケーションによる医療事故の防止教育に援用することを目的としている。上述の目的のもと、平成27年度は以下のような研究を行った。 ・文字化資料の整理: 医療現場で録音し既に文字起こしを行っている資料を見直し、雑音等のため聞き取りにくく、文字起こしを保留している箇所について、聞き取り直しを再度行った。また、「せんせ」のように聞こえてきた音の通り記述している箇所については聞き直し、(=先生)のように本来の語彙を追記して検索に漏れがないように準備を行った。文字化資料の整理は、研究対象とする文字化資料全てにおいて終了した。 ・頻出語彙の選び出し: 文字化資料を患者ごとに分け、そこで使用されている語彙(名詞)を洗い出した。結果をエクセルシートに整理し、半数以上の患者で使用されている語彙を本研究の頻出語彙として選び出した。選び出しについては、研究対象とする文字化資料の半数で終了している。 ・頻出語彙のコロケーション分析: 頻出語彙が含まれる発話文を抜きだし、頻出名詞がどの用言と連動するのかを分析している。そして頻出語彙が使われる典型的な文型を導き出している。頻出語彙のコロケーション分析は、現在研究対象の半分の文字化資料について終了している。 平成27年度の研究実績により、本研究の分析対象の半数における医療談話コロケーションが明らかになった。分析対象の半数のみが終了している理由は、頻出語彙が多岐に渡ったこと、分析方法の検証などの理由からまずは半数行ったことなどがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は研究実施計画書に記載した内容をおおむね進めることができた。分析対象(重複する語彙)が予想以上に多岐にわたったことから、後半の分析は半数にとどまっているが、分析手法は確立しており、平成27年度の結果からおおむねの予想が立てられる状況ではあるので、それを援用することで分析を迅速に進めることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は平成27年度の分析を終了させると同時に、研究実施計画書にある通り、以下の研究計画を実施する。 ・コロケーションが医学界特有のものか検証する: 国立国語研究所が開発したweb上のコーパス(BCCWJ)を利用し、頻出語彙のコロケーションが一般での使用状況と異なるのか、異なるとしたらどのように異なるのかを分析する(異なる場合は特に注意喚起が必要となるため)。(例;「点滴」…点滴を打つ(BCCWJ)、点滴がいっている(医療談話)) ・コロケーションが談話特有のものか検証する:看護師国家試験の問題を利用し、頻出語彙の使用状況を分析する。比較分析を行い、本研究のコロケーションが談話特有のものなのか、あるいは書きことばでも共通するものなのかを明らかにする。 ・分析結果をまとめる: 医療用語のコロケーションの分析結果をハンドブックとしてまとめ、ホームページでも公開する。研究実施計画書では冊子にまとめて配布することとしていたが、ホームページ上で公開し公開情報を各所に連絡したほうが効率的であると判断し、変更した。 ・研究成果の公開・発信:<日本語教育分野>日本語教育学会や日本語教育方法研究会で発表する。ポスター発表を行い、コロケーション資料を実際に見てもらい意見交換等も行う。雑誌『日本語教育』に投稿する。<医学分野>協力先の病院・外国人看護師候補者の受け入れ病院に、また主要大学で医療コミュニケーションを指導している教員のもとへホームページでの公開の案内を知らせる。可能であれば医学教育系の研究会、あるいはヘルスコミュニケーション学会で発表する。<一般向け>ホームページでハンドブックの内容を公開する。
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Research Products
(1 results)