2015 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟かつ高効率なネットワークのための全光変調変換技術による省電力光ノードの研究
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15H06443
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸川 博紀 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (00759722)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 変調フォーマット / フォトニックネットワーク / エネルギー効率化 / 光ノード / 偏波多重 / 波長多重 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では変調フォーマット変換技術を確立することを目的とする。偏波多重や波長多重信号へ適用可能な変換技術や、将来の400ギガ・1テラ級伝送に適したQAMに関する変換技術が未確立であるため、本研究で新規技術を確立する。本年度は、偏波多重信号や波長多重信号へ適用するため、偏波無依存化や波長無依存化を図ることを計画しており、現在のところ以下の実績を得ている。
1 偏波多重信号に対するBPSKからQPSKへの変調フォーマット変換技術: これまで私が報告したBPSKからQPSKへの変換技術に基づいて検討し、理論解析の結果、そのまま波長多重信号にも適用可能であることが分かった。本結果は、翌年度に計画しているQPSKからQAMへの変換技術に対しても原理的に適用可能であるため、その報告に含める予定である。 2 偏波多重信号に対するQPSKからBPSKへの変調フォーマット変換技術: 当初計画のとおり、偏波ダイバーシティ構成を考案しその実装法、変換特性、信号品質を計算機シミュレーションで明らかにした。成果は学術誌論文(13.研究発表の雑誌論文1番)、国際会議(同学会発表1-3番)や国内学会[同学会発表1-5番]で報告してきた。また本技術を発展させ、任意の方位角を持つ偏波多重信号に適用可能な構成を考案し、成果発表のため学術誌論文および国際会議に投稿予定である。 3 波長多重信号に対する上記1,2の変調フォーマット変換技術: 理論検討の結果、当初の計画より優先すべき技術課題が判明した。具体的には、変調フォーマット変換後の光信号の占有帯域幅をフォーマットに合わせて可変することが、波長多重信号に適用し周波数効率を維持するために必要であることがわかった。この技術課題は翌年度にかけて検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画はおおむね順調に進展している。特に実績2に関しては当初予定より大きく進展しており、計画していた偏波ダイバーシティ構成だけでなく、より現実の通信網に適用可能な任意の方位角を持つ波長多重信号を対象とした変換方式を考案し、変換動作の理論解析、変換回路の考案、計算機シミュレーションを行い動作検証してきた。本成果は翌年度に開催される国際会議および学術誌論文に投稿予定である。また実績1に関しては、成果の新規性をより大きく主張するため、翌年度に計画しているQPSKからQAMへの変換技術とあわせて報告する予定である。実績3に関しては当初計画では分かったいなかった技術課題が判明したが、より重要性が高く優先すべき事項と判断し、翌年度にかけて検討を進める予定である。
予算計画に関してもおおむね順調に進展している。当初計画と異なる点は、単価50万円の物品で翌年度に調達を予定していた波長可変光源を本年度に前倒して調達したことである。これは研究実績2の進展や、他の検討事項・物品調達計画との兼ね合いで変更したものである。代わりに、本年度に調達予定であった高非線形ファイバ(単価30万円程度)を翌年度に調達する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度はQAMに関する変換技術を確立するため、これまで我々が報告した変換技術に基づきQPSKからQAMへ、またその逆のQAMからQPSKへの変換技術を検討し、得られた成果をまとめ学会発表および学術誌論文へ投稿する予定である。
1 QPSKからQAMへの変調フォーマット変換技術: これまでに提案してきたBPSKからQPSKへの変換技術の原理を応用し、振幅の異なる二つのQPSK信号のベクトル加算によりQAM信号に変換することを考えている。変換動作の理論解析、変換回路の考案、計算機シミュレーション及び基礎実験による動作検証を行う。本年度研究実績1で記載した理論解析の結果も含めた検討を行う予定である。 2 QAMからQPSKへの変調フォーマット変換技術: 先行研究がなく実現可能か分かっていないため、光信号処理に応用できる各種の光学現象・光学効果を用いた変換原理を見出すことから始める予定である。これまでに提案してきたQPSKからBPSKへの変換技術の原理が応用できる仮説を立て、変換動作の理論解析を行うことで検証する。その後、変換回路の考案、計算機シミュレーション及び基礎実験による動作検証を行う。 3 本年度研究実績3に記載の波長多重信号に対する変換技術で判明した技術課題: 変調フォーマット変換後の光信号の占有帯域幅をフォーマットに合わせて可変するため、帯域圧縮・伸張技術を導入し、波長多重信号の周波数効率を変換前後で維持する技術を考案する。理論解析、計算機シミュレーション及び基礎実験による動作検証を行う。
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Research Products
(11 results)