2015 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント周囲炎に関連するmicroRNAの同定
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15H06449
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩脇 有軌 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (10754624)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | microRNA / TNF-α / 持続的圧縮応力 / miR-146a / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラントにおいて細菌感染や過剰な力学的負荷により惹起されるインプラント周囲炎が周囲骨喪失の原因として問題となっており、その分子機序の解明が求められている。microRNA (miRNA)による遺伝子発現調節はエピジェネティクス機構の一つとして様々な生命現象に関与しており、その調節破綻が癌や炎症性疾患の病態と関連する。 今回、TNF-α処理または持続的圧縮応力を負荷したMT3T3細胞のTotal RNAを抽出し、RT-qPCRを行った。以前行ったマイクロアレイ解析を行った結果発現上昇を認めたmiRNAのうち、miR-146aの発現上昇を確認することができた。このmiRNAは、ヒト・マウス間にて保存されており、より臨床応用へ近づけると考えられる。 miR-146a mimicをMT3T3細胞へトランスフェクションしMTT Assayにて細胞増殖への影響を検討したところ、増殖の抑制が認められた。また、miRNAの標的候補としては、Target ScanおよびmiRDBの2つのデータベースで検索し、共通しているものを選択した。miR-146aの標的候補としてTarget Scanでは109種類、miRDBでは195種類の標的候補が確認できた。TNF-αシグナル経路で重要であるTRAF6、IRAK1がmiR-146aの標的とされており、その発現変動についてRT-qPCRにて確認を行ったが有意な変動は認められなかった。 これより、MC3T3細胞へのTNF-α処理または持続的圧縮応力を負荷によりmiR-146aの発現上昇が認められ、これが標的遺伝子に作用して細胞の増殖へ関与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、MC3T3細胞におけるTNF-α処理または持続的圧縮応力負荷によるmiRNA変動のうち、マイクロアレイ解析にて発現上昇したmiR-146aの発現変動についてRT-qPCRにて確認し、細胞増殖に関与すること確かめることができた。また、miR-146aの標的遺伝子としてデータベースで検索したTRAF6、IRAK1について、MC3T3細胞におけるTNF-α処理または持続的圧縮応力負荷ではmRNAレベルでの変動は無いことが確認できた。今後は、これらのタンパク質レベルにおける検討やmiR-146a mimicのトランスフェクションにおける変動を検討するとともに、マイクロアレイ解析で発現変動が確認できている他のmiRNAについても詳しく調査していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験において、RT-qPCRによってTNF-α処理、持続的圧縮力負荷により変動するmiRNAとしてmiR-146aを確認できた。さらに、miR-146aをMT3T3細胞へトランスフェクションすることで細胞増殖を抑制することが示された。しかし、どの標的遺伝子に作用しているかは確認できていない。今後は、miR-146aについて、データベースで確認できる標的遺伝子をRT-qPCRおよびウエスタンブロットで検討していく。同様に、マイクロアレイ解析で発現変動することが確認できているmiRNAでまだ検討できていないものについて、qRT-PCRでの発現変動の確認、データベースでの標的候補の予測、細胞増殖および細胞分化への影響を調査していく予定である。 標的遺伝子を同定した後、レポーターアッセイによる標的遺伝子へのmiRNAの結合部位の検討を行う。そして、MC3T3細胞においてsmall interference RNA(siRNA)による標的遺伝子のノックダウンを行い、細胞増殖および細胞分化を評価する。 また、TNF-α処理したMT3T3細胞において、miRNAが培地中へ分泌されているか検討する。遠心分離により壊死細胞片を除去した培地上清をさらに超遠心し、エクソソーム分画(沈殿)および非エクソソーム分画(上清)に分離させる。このうちエクソソーム分画よりTotal RNAを抽出し、RT-qPCRにて候補miRNAの発現変化量を確認する。あわせて、研究施行のための情報収集と意見交換を行う。
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