2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06450
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井上 美穂 徳島大学, 大学病院, 診療支援医師 (20271059)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 骨芽細胞 / 分化 / 幹細胞化 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯髄細胞の幹細胞化を応用し、実際の炎症性歯髄において組織学的に検討することで、歯髄組織の修復、回復に効果的な生体材料、さらに象牙質においてはう蝕を抑制する生体材料の開発を行うことを目的として、まず、骨芽細胞様細胞を用いて、TNF-αの影響を検討した。 骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)にTNF-α刺激を行い、細胞分化能、細胞増殖能の検討を行った。細胞増殖能はMTSアッセイ、細胞数のカウントを行った。TNF-αの濃度に依存して、細胞増殖能は低下した。歯髄細胞では変化がなかったが、骨芽細胞、あるいは培養細胞との違いであると考えられた。ALP活性の検討、石灰化の検討、培養細胞からRNAを抽出し、定量性RT-PCR法を用いて検討した。TNF-α刺激を行った細胞は、分化能が停止、あるいは遅延する結果となった。 骨芽細胞では歯髄細胞のように明らかに幹細胞化は起きなかった。しかし、実際のマウスから骨芽細胞を培養した場合、結果が異なることが考えられた。 生体材料は、コラーゲンスポンジ、炭酸アパタイト、水酸化アパタイトの入手が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞培養のための初代培養細胞を採取するためには、本学の動物実験計画書の承認を受ける必要があったため、市販の培養細胞を用いた。また、実験器具の購入、機器の使用方法など、検討する項目が多く、研究を軌道にのせることに時間がかかった。また、新たな生体材料の検討に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の分離・培養は、動物実験の承認を受けたので、マウスから、歯髄細胞、象牙芽細胞を採取する。 生体吸収性の材料としてコラーゲンスポンジ、コラーゲンゲル、炭酸アパタイト、水酸化アパタイトを用いて細胞培養を行う。 TNF-αコーティング材料上での細胞学的検討は、生体吸収性材料にTNF-αをコーティングし、歯髄細胞を培養する。細胞増殖能をMTSアッセイにて確認する。さらに、培養細胞からRNAを抽出し、定量性RT-PCR法を用いて、炎症性サイトカイン、幹細胞化の指標となる遺伝子についても検討する。 in vitroにおける分化能の評価は、実際にさまざまな細胞への分化を行うかどうか検討するため、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、神経細胞、それぞれへの分化誘導培地で培養を行い、それぞれの組織特異的遺伝子マーカーおよび抗体を用い、分化能を定量性RT-PCR法および免疫細胞染色法で評価する。 フッ素コーティング材料上での細胞学的検討は、生体吸収性材料にフッ素(NaF)をコーティングし、歯髄細胞、象牙芽細胞、骨芽細胞を培養する。細胞増殖能、石灰化能(アリザリンレッド染色)、定量性RT-PCR法等を行う。
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