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2015 Fiscal Year Annual Research Report

Wnt5aを介した歯周組織再生における脂質メディエーターの役割と分子機序の解明

Research Project

Project/Area Number 15H06493
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

橋本 陽子  九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90755042)

Project Period (FY) 2015-08-28 – 2017-03-31
Keywords歯周組織再生
Outline of Annual Research Achievements

骨組織の形成を制御するWntシグナル伝達経路には、β-カテニン依存性と非依存性経路が存在する。これまでに、間葉系幹細胞株C3H10T1/2細胞におけるS1Pの骨芽細胞分化促進作用を現象論として報告したが、本研究における予備実験において、S1Pの添加によりβ-カテニン非依存性経路のリガンドであるWnt5a発現が増加するという知見を得ていた。そこで、S1Pによる間葉系幹細胞株の骨芽細胞分化促進作用におけるWnt5aを含むWntシグナル伝達経路の関与について、そのメカニズムを明らかにすべく検討を行った。
1. β-カテニン依存性経路の活性化には、Wnt10bなどのリガンドやLRP5/6受容体発現が重要である。Real-time PCR法を用いて検討したところ、S1Pは骨芽細胞分化誘導時のC3H10T1/2細胞において、Wnt10bの遺伝子発現には影響を及ぼさないが、LRP5/6受容体の遺伝子発現を増加させた。
2. 骨芽細胞分化誘導時のWntタンパク質の分泌についてELISA法にて解析を行った。S1PはWnt5aタンパク質の分泌を増加させたが、Wnt10bタンパク質の分泌には影響を及ぼさなかった。
3. Wnt5aがLRP5/6の発現を増加させるという報告があることから、Wnt5aの中和抗体を用いて、S1Pが骨芽細胞分化マーカー発現やLRP5/6発現に及ぼす影響について検討した。S1Pは、LRP5/6や骨芽細胞分化マーカー(alkaline phosphatase、osteocalcin)の発現を増加させたが、Wnt5a中和抗体により、これらの作用は抑制された。すなわち、S1Pの骨芽細胞分化促進作用にWnt5aが関与することが示唆された。
S1PによるWnt5aを介した間葉系幹細胞株の骨芽細胞分化促進作用は、歯周組織再生における支持歯槽骨の再生に繋がり、次年度に繋がる成果が得られたと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

骨芽細胞分化誘導時のC3H10T1/2細胞において、S1Pはβ-カテニン依存性経路の活性化に重要なLRP5/6受容体の遺伝子発現を増加させた。更に、S1PがWnt5aタンパク質の分泌促進を介し、骨芽細胞分化を促進していることを示唆する結果が得られた。
当初の実験計画に加え、S1Pによる間葉系幹細胞株の骨芽細胞分化促進作用に、β-カテニン依存性経路が関与するかどうかについて、多方面から検討しておく必要があると考えられたため、現在、β-カテニン依存性経路を阻害するDkk1タンパク質の中和抗体を用いて、S1Pによる骨芽細胞分化促進作用への影響についての検討を行っている。
歯根膜細胞には未分化間葉系幹細胞が存在すると言われているが、これまでに、Wnt5a による歯根膜細胞の細胞遊走促進作用、コラーゲン線維産生促進作用、石灰化抑制作用が報告されている。そのため、歯根膜細胞においても、S1P がWnt5a を介した同様の作用を発揮することが予想され、歯根膜細胞におけるS1Pの作用についての検討も行う必要性がある。しかしながら、「現在までの進捗状況」で述べた通り、S1Pによる骨芽細胞分化促進作用とβ-カテニン依存性経路との関与についての詳細な検討を行っているため、当初本年度の実験計画であった歯根膜細胞におけるS1Pの作用についての検討が遅延している。したがって、次年度速やかにこの検討を開始する。

Strategy for Future Research Activity

Dkk1の中和抗体を用いて、S1Pが骨芽細胞分化に及ぼす影響についての検討を進めるとともに、株化された歯根膜細胞を用いて、S1Pが線維芽細胞、骨芽細胞への分化に及ぼす影響について、歯根膜関連タンパク質および歯根膜組織マーカー、および骨芽細胞分化マーカーの発現に関する解析を行う。
更に、in vivoにおいても同様の結果が得られるか検討を行う。すなわち、機能解析として、人工的に惹起させた歯周疾患に対し、S1Pを作用させた場合の歯周組織の挙動について検討する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] The involvement of Wnt5a in sphingosine-1-phosphate-modulated mesenchymal stem2015

    • Author(s)
      Yoko Hashimoto, Etsuko Matsuzaki, Katsumasa Higashi, Aiko Takano,
    • Organizer
      The 63rd Annual Meeting of Japanese Association for Dental Research
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場、福岡市
    • Year and Date
      2015-10-30 – 2015-10-31
  • [Presentation] スフィンゴシン-1-リン酸が間葉系幹細胞の骨芽細胞分化に及ぼす影響への Wnt5a の2015

    • Author(s)
      橋本 陽子、松﨑 英津子、東 克匡、高野 愛子、西村 英紀
    • Organizer
      第58回秋季日本歯周病学会学術大会
    • Place of Presentation
      アクトシティ浜松、浜松市
    • Year and Date
      2015-09-12 – 2015-09-13

URL: 

Published: 2017-01-06  

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