2015 Fiscal Year Annual Research Report
行政行為の時間的規律――行政過程・行政訴訟における継続的な権利救済を目指して――
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15H06495
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
児玉 弘 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (30758058)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 公法学 / ドイツ行政法学 / 行政行為論 / 行政手続論 / 行政訴訟論 / 行政手続の再開 / 義務付け訴訟 / 継続的権利救済 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、以下の3つの段階の研究を実施した。 (1) 問題意識の再点検:本研究の問題意識をよりクリアにし、国際的な文脈においても本研究の意義を位置づけるために、本研究と問題意識を同じくする最新のドイツ行政法学のモノグラフィーを精読し、これを分析した。また、研究のスタート時点における論点の誤謬ないし見落としを避けるために、本研究の問題意識を九州大学大学院法学研究院における研究会において発表した。また、とりわけ、近時、東日本大震災を契機として、原子力発電所の安全基準と最新の科学技術とのギャップの問題が意識されるようになるなど、本研究と深く関係する新たな法的問題が生じている。そこで、本研究の有する射程を明らかにするためにも、原子力発電所の再稼働に関する法的諸問題について北海道大学大学院法学研究科における研究会において報告を行った。 (2) 文献調査:日本国内で入手可能な関係文献(日本語文献とドイツ語文献が中心となる)を網羅的に収集したうえで、行政過程における継続的な権利救済に関する文献の読解を優先して進めた。すなわち、行政法各論ないし個別法の領域における行政手続の再開に関する制度ないし規定の生成・発展史、現在の要件・効果論に関する検討を行った。すでに一応の検討を終えていた一般行政手続法とこれらの特別法とを比較して、行政手続の再開という制度の特徴をあぶり出した。 (3) 現地調査のための準備:日本国内では入手不可能なドイツ語文献(とくに歴史的な文献)について、現地の図書館等で閲覧・複写するためのリストアップを行った。また、ここまでの研究の結果生じている疑問点等をドイツの研究者に対してインタビューする準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究実施計画としてあげていたものの大半を遂行したため。 もっとも、平成28年度中に現地調査を考えていたが、当該年度中に収集した文献の量が膨大で、その読解・分析・整理に予想以上に時間がかかっている。しかし、これは、研究費の効率的な執行に資するとともに、研究内容の緻密化を意味するから、平成28年度に行う予定である現地調査でより質の高い研究を行うことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、以下の4つの段階の研究を実施する予定である。 (1) 文献調査:主にドイツ行政法各論ないし個別法の領域における行政手続の再開および義務付け訴訟に関する立法資料、研究成果、裁判例等の原語文献を網羅的に収集・読解・分析・整理する。平成27年度中に行政手続の再開に関する主だった文献の収集を終え、現在、これらの読解・分析・整理に取り組んでいるが、この作業を継続する。また、文献調査の重心を行政手続の再開から義務付け訴訟に移す。とくに、ドイツにおける義務付け訴訟が認められてきた史的状況を裁判例等の一次資料によって追体験し、その内容を明らかにする。その際、義務付け訴訟が運用される局面を場合分けし、ドイツがいかなる解釈論上の問題に直面し、どのようにその問題を解決したのか、あるいは、解決していないのか、という視点から検討・分析を行う。 (2) 現地調査:行政行為に対する時間的規律、とりわけ、継続的な権利救済に関する包括的な研究は、ドイツにおいてもあまり見られないため、とくに個々の法制度に関する理論状況、および、それぞれの運用(現実的機能)に関する実証研究・裁判例に焦点を合わせる。 (3) 口頭発表:国内の学会および研究会で研究成果を報告し、広く批判・教示を受け、知見を修正・研磨する。 (4) 論文執筆・公表:ここまでで得られた知見を総括し、行政過程(行政手続)と行政訴訟を動態的に架橋させたうえで、行政行為に対する継続的な権利救済を中心とするその時間的規律という全体構想を明らかにする論文を執筆する。
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Research Products
(3 results)