2015 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化係数の小さいフロン系作動流体を用いる高性能冷却デバイスの研究
Project/Area Number |
15H06501
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 智恵子 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50752870)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 低GWP冷媒 / 電子機器冷却 / 超親水面 / 沸騰冷却 / CPU冷却 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子機器冷却の高性能化へ向け,作動流体として温暖化係数の小さい冷媒R1234ze(E)およびR1234ze(Z)を採用し,沸騰面に超親水性を持たせたることの効果を実験的に検証した. 14mm角の加熱ブロックを用いてCPUの発熱を模擬し,これに直径20mmの銅製沸騰面と凝縮器として空冷マイクロチャネル熱交を有する自然循環式冷却ループを圧着させ,その冷却能力を測定した.
加熱ブロック熱流束75 Wcm2において,R1234ze(E)を用いた場合の沸騰熱抵抗は,従来の水の場合に比して約36%と大きく低減した.このことにより,接触熱抵抗や凝縮熱抵抗を含めた全熱抵抗は,約61%に低減し,これはCPU表面度を約80度から約60度に抑えられることに相当する.次いでR1234ze(E)の同位体であるR1234ze(Z)について測定したが,沸騰熱抵抗は水に比して約85%と,R1234ze(E)の低減率には及ばなかった. さらに,R1234ze(E)に対し,短パルスレーザを用いて作成した銅製超親水沸騰面を用いたところ,沸騰熱抵抗は19%まで低減した.このことにより全熱抵抗は45%に低減し,これはCPU表面温度を55度に抑えられることに相当する.水を使用した場合,毛細管力が大きいために凝縮器であるマイクロチャネル熱交換器内での流動性が極めて悪く,熱流束75 Wcm2以上で急激な温度上昇がみられ,液戻りが不十分となり沸騰面が乾くことが目視で確認された.今後,冷却デバイスの更なる小型・高性能化を進めるためには,液戻りがスムーズで尚且つ沸騰熱抵抗が小さいR1234ze(E)などの冷媒が適していることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験検証は順調に進展している.以上に報告した作動流体に加え,地球温暖化係数は高いが安価に入手し得るR134aについても測定を行い,R1234ze(E)を凌ぐ冷却性能を得ることが出来た.さらに超親水沸騰面がR1234ze(E)やR1234ze(Z)といった表面張力の比較的小さい流体に対しても,限界熱流束を増加させることを世界に先駆けて確認することができた.また,学会発表を通した成果報告の開示も開始している.
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度の取り組みとしてシミュレーション技術の構築を試みている.現在のところ順調に進行しているため,当初の計画通り,今後は実験結果をもとに計算結果の妥当性を示す予定である.その後,シミュレーションを用いて更なる高性能化をするための装置改造点などを模索する.
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Research Products
(3 results)