2015 Fiscal Year Annual Research Report
P. endodontalisにおけるジペプチジルペプチダーゼの病原性解析
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15H06505
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西俣 はるか 長崎大学, 病院(歯学系), 医員 (10755755)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | Porphyromonas属 / P. endodontalis / ジペプチジルペプチダーゼ / 歯周病原細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,我々が発見した歯周病原性細菌Porphyromonas endodontalis ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)を中心として,同菌の病原性に関与するジペプチド分解系の全容解明およびその阻害経路確立を目指すものである。同属で慢性歯周炎の病原菌であるP. gingivalisとそのDPP遺伝子破壊株を各々比較しつつ検討し,両菌種生育のDPP依存性の評価やDPP酵素群の病原性解析について成果を得ることを目的としている。 P. gingivalis ATCC33277株およびP. endodontalis ATCC35406株については、まず1μg/mLメナジオン添加ABCM培地,嫌気条件下で培養を行い,ゲノムDNAを精製後,PCRで各対象DPP遺伝子CDSを増幅し末端処理後,DNA断片をpQE60ベクターの該当制限酵素部位にライゲーションした。Escherichia coli XL1-Blue株に導入し増殖後,1mM IPTGで誘導しリコンビナント分子を発現、C末Hisタグリコンビナント体をTalon樹脂を用いたアフィニティークロマトグラフィーで精製した。ペプチダーゼ活性は,各種合成ジペプチジルMCA蛍光基質を用いて測定した。 続いて、アンピシリン等の耐性遺伝子を含む各DPP遺伝子の相同組換えDNA断片を作製する。これをP. gingivalisに導入し,該当薬剤添加培地上での培養でスクリーニングを行い,遺伝子破壊株を得た。また、P. endodontalisについても同様のエレクトロポレーション法にて遺伝子破壊株を作成中である。P. endodontalisの研究はほとんどなされておらず、遺伝子破壊株については報告もないことから、当研究はその先端を切るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,研究実績の概要にも記載した通りP. gingivalisおよびP. endodontalis DPP4, 5, 7, 11の発現・ペプチダーゼ活性測定については既に終了している。また、P. gingivalisについては DPP多重遺伝子破壊株が得られている。しかしながら、今年度に予定していたP. endodontalisのDPP多重遺伝子破壊株については、未だ得られていない。ただし当該事項は、研究計画立案当初から困難が予測されていたものであり、種々の条件を試みて遺伝子破壊株獲得法を探索している。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病原性細菌P. gingivalisおよびP. endodontalisは糖非発酵性で、細胞外のタンパク質をエネルギー源として生育している。ヒトの口腔内においてこれらの菌は、細胞外タンパク質であるヒトの歯周組織を侵襲してエネルギー源とし、各々慢性歯周炎と根尖性歯周炎を引き起こすと考えらえている。このPorphyromonas属の両菌種は、オリゴペプチドをジペプチジルペプチダーゼ(DPP)がジペプチドに、一部はトリペプチジルペプチダーゼがトリペプチドに分解した後,菌体内に取り込む代謝構造を持つ。つまり、この代謝機序のうち、DPP活性を効果的に阻害できれば歯周病の予防が可能であると考えている。 次年度においては、現在までの進捗状況にも記載したように、P. endodontalisのDPP遺伝子破壊株作成を継続するとともに、当初計画していたDPP遺伝子破壊株を用いた,両菌種生育のDPP依存性の評価を行う予定である。
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Research Products
(1 results)