2015 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期内耳における遺伝子発現調節による遺伝子動態の解析
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15H06511
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三輪 徹 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70535591)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 胎生期内耳 / 遺伝子導入 / Dach1遺伝子 / 蝸牛血管条 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚と平衡覚を司る感覚器である内耳形成に重要な役割をもつことが示唆されているDach1遺伝子に着目し、内耳特異的なDach1発現抑制モデルマウスを作成することで、内耳形態の変化と関連遺伝子の動態を解析する。このことを通して、正常マウス胎生期内耳形成のメカニズムの一端を明らかにすることを目的とする。 方法としては、キシラジン、ケタミンにて妊娠マウスを全身麻酔後、開腹を行い胎児を子宮とともに体外へ露出し、下方よりファイバー光源で照らしながら耳胞を確認し、Dach1遺伝子を標的とするshRNAプラスミドベクター(shRNA-Dach1)を注入する。このことで内耳特異的Dach1 ノックダウン(KD)マウスを作製し、内耳形態の変化と関連遺伝子の動態を解析する。 これまでに我々は、複数のshRNA-Dach1を用いて内耳特異的Dach1 KDマウスを作製し、胎生期15日目の胎生期内耳において最も効率的にDach1発現を抑制できるshRNAプラスミドベクターを選択した。また、内耳特異的Dach1 KDマウスの胎生期内耳において、蝸牛血管条形成に強く関与していると予測されるPax6、Igf1遺伝子の発現の消失をin situ hybridizationにおいて確認した。 Dach1遺伝子は哺乳類内耳の形成に重要な役割を果たす遺伝子であることが推測されるが、Dach1欠失マウスが致死的であるため、これまでほとんど検討されていないことから、これまで行われてこなかったDach1遺伝子の哺乳類内耳における機能解析が可能となり、胎生期内耳の形成に関する新しい知見を得ることができると考えられ、本研究の意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、遺伝子導入による胎児への傷害が少ないため生存率が高く、十分な検討が行えていると考えている。確実な検討のためには、サンプル数の増加が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、shRNA-Dach1プラスミドベクターをE11.5の正常マウスの耳胞へ導入後、E18の時点で帝王切開を行い、胎子を代理母に預け、生後30日(P30)まで生育させる。その時点で形態評価、聴覚評価を行う。
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