2015 Fiscal Year Annual Research Report
食事中の亜硝酸/硝酸の不足にて生じる代謝症候群の分子機構の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
15H06519
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜名 美香 琉球大学, 医学部附属病院, 医員 (80578914)
|
Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
|
Keywords | メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、野生型マウスに低nitrite/nitrate食を長期投与すると、代謝症候群(内臓肥満、糖代謝異常、インスリン抵抗性、血中脂質異常)を発症することをすでに発見している。昨年度の実験では、低nitrite/nitrate食を長期投与群と通常食群で血液中の炎症性サイトカインやアディポネクチン、脂肪組織中の内皮型NO合成酵素(eNOS)発現を調べた。その結果、低nitrite/nitrate食群で著明な肥満が見られるが炎症は起こっていなかった。これは、脂肪組織中の炎症性サイトカインのメッセンジャーRNAレベルをリアルタイムPCRで調べても同じであった。また、脂肪組織中のeNOS発現は低nitrite/nitrate食群で有意に低下していた。さらに、血漿中アディポネクチンは低nitrite/nitrate食群で有意に低下していた。これは、脂肪組織から分泌されるAdiponectinやeNOSが外因性(食事性)NO産生系からのNO供給低下により惹起される代謝症候群の機序に一部、関与していることが示唆された。また、低nitrite/nitrate食群にnitrateを投与すると、耐糖能異常およびインスリン抵抗性の改善が認められた。このことから、ほうれん草やレタス、ブロッコリーなどの緑葉野菜に多く含まれる、硝酸塩(nitrate)の有用性が示唆される。 今後は、低nitrite/nitrate食およびnitrateを投与したマウスのサンプルを用いて、eNOS蛋白発現やアディポネクチンを検討し、引き続き、低nitrite/nitrate食長期投与により発症した代謝性症候群の機序の解明を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、低nitrite/nitrate食の長期投与が終了し、実験に必要な匹数およびサンプル数が整い、実験も順調に進行しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、低nitrite/nitrate食およびnitrateを投与したマウスのサンプルを用いて、NOS蛋白発現やアディポネクチンを検討し、引き続き、低nitrite/nitrate食長期投与により惹起される代謝性症候群の機序の検討を行う予定である。さらに、摘出したマウス生体サンプルから、UCP-1、Sirt-1、ppar-γ、p-AMPKなどをウェスタンブロット法で検討する。 また、マウスの腸内細菌叢の変化を検討するため、盲腸内容物からDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて解析する予定である。
|