2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞パターン培養に向けたプラズマ処理によるナノファイバパターニング技術の開発
Project/Area Number |
15H06586
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 知貴 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (00754730)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | エレクトロスピニング / ナノファイバ / プラズマ処理 / 細胞培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ処理を用いたナノファイバ(NF)のパターニング技術を開発し、NFシート上での複数種の細胞の微細細胞パターン培養技術を創製することを最終目的としている。当該年度では、1.生体適合性材料を用いたNFシートの作製、2.NFパターニング技術の条件選定、3.NFシート上での単一種の細胞培養を実施した。 1.生体適合性材料を用いたNFシートの作製では、生体適合性や生分解性を有するポリマ材料であるポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、汎用性ポリマ材料であり安定性に優れるポリプロピレン(PP)を用いて、エレクトロスピニング(ES)法によりNFシートを作製した。溶媒選定により、NFシートを構成するNFは直径300 nm程度まで細径化した。 2.NFパターニング技術の条件選定では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を基板に用いて、(1)プラズマ処理に用いるガス種、(2)出力、(3)処理時間の各条件がNFパターニングに与える影響を解析した。その結果、以下のような結論を得た。(1)ガス種を酸素、窒素、アルゴンで比較した場合、NFパターニングには窒素ガスが適した。(2)出力(20 Wから200 Wまで)を比較した場合、NFパターニングには高出力のプラズマ処理が適した。(3)プラズマ処理時間は、最短5秒の処理時間でNFパターニングが可能であった。以上の条件選定により、幅300 μmのプラズマ処理面へのNFパターニングに成功した。 3.NFシート上での単一種の細胞培養では、NFシート上での細胞培養の手技を確立するために、血管内皮細胞をNFシート上で培養した。その結果、培養4日目において、細胞がNFシート上に生着していることを確認した。以上より、複数種の細胞を培養可能な微細細胞パターン培養に向けて、基礎技術を確立したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画においては、プラズマ処理を用いたナノファイバ(NF)のパターニング技術の確立と細胞パターン培養のプロトタイプの構築を目標とした。この目標にあわせて、生体適合性材料を用いたNFシートの作製、NFパターニング技術の条件選定、NFシート上での単一種の細胞培養を実施した。研究成果としては、直径300 nm程度のNFからなるポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリプロピレン(PP)NFシートの作製、NFパターニング技術の確立、単一種の細胞を用いた細胞培養の実施と評価系の構築がある。なお、PPNFシートの作製に関しては、国際誌論文Journal of Applied Polymer Scienceにて、NFパターニング技術に関しては、国際学会14th Pacific Polymer Conferenceにて、その成果を報告した。以上より、プラズマ処理を用いたNFパターニング技術の開発、NFシート上での複数種の細胞を培養可能な微細細胞パターン培養に向けて、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
複数種の細胞を培養可能な微細細胞パターン培養技術の実現に向けて、細胞パターン培養の評価手法の確立とナノファイバ(NF)パターニング技術の微細化を目指す。細胞パターン培養の評価手法に関して、現段階では、NFシート上で培養した単一種の細胞に対する評価手法を確立している。この手法を発展させることで、複数種の細胞に対する評価手法を確立することを目指す。具体的には、蛍光色素を用いて染色し、蛍光顕微鏡を用いて観察する。一方で、NFパターニング技術の微細化に関して、現段階では、幅300 μmのプラズマ処理面へのNFパターニングに成功している。この技術をもとにすることで、より微細なスケールでのNFパターニング、また、ストライプ構造や海島構造など複雑形状のNFパターニングを目指す。具体的には、形状に応じたプラズマ処理条件の最適化、マスク形状の最適化を実施する。 上記を達成した後には、共培養に向けた微細細胞パターン培養のプロトタイプの構築を目指す。
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Research Products
(7 results)