2015 Fiscal Year Annual Research Report
通訳を介した法廷談話の研究:コミュニケーション理論に基づいた法廷通訳人の役割再考
Project/Area Number |
15H06598
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 理加 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20761951)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 法廷通訳研究 / 談話分析 / 言語イデオロギー / 司法通訳 / 社会言語学 / 語用論 / 言語人類学 / ウェルフェア・リングイスティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、通訳を介した法廷談話を収集し、法廷談話参与者へのインタビュー談話と合わせてコミュニケーション理論の枠組みで分析し、法廷通訳人の役割を再考し「言語弱者」を生み出さない公正な法廷の実現に寄与する知見をもたらすことを目的としている。 本年度は、計画通り、主に文献調査と通訳を介した法廷談話収集を実施した。文献調査では、法廷通訳研究、言語人類学、語用論、社会言語学、法言語学、談話分析等の関連研究分野における最新の研究並びに伝統的な文献を網羅的に読破し、論文執筆時に本研究に先行する文献として記載する準備をした。通訳を介した法廷談話収集は、大阪地裁、東京地裁、千葉地裁、奈良地裁で実施し、スペイン語、ポルトガル語、英語の完全な法廷談話を収集し、中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語の通訳を介した法廷では、日本語部分のみの法廷談話を収集することができた。また、日本語のみで行われた裁判員裁判も傍聴し、法廷談話を収集することができた。研究計画でも述べた通り、日本国内において実際の通訳を介した法廷談話はほとんど収集されておらず、本研究は生の談話データを入手することができた。談話分析の対象となる法廷談話が入手できたことは大きな意義があると考える。また、東京だけではなく、関西地方においても通訳を介した法廷談話を収集できたことは、多様な事例が収集できたという意味で、意義があると考える。 また、法廷談話収集、文献調査と並行し、法と言語学会年次大会等で本研究における考察の一部を発表し、専門家らとの意見交換を行うことができた。今後の論文執筆などの成果に反映させることができる。法廷参与者へのインタビュー談話収集は、次年度に実施することにし、法廷談話の分析を勧めつつ、インタビュー談話収集も実施することにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査は順調に進み、法廷談話収集に関しては、予定していた件数を超える種類の裁判傍聴ができ、法廷談話収集を実施した。参与者へのインタビュー調査も実施する予定であったが、2月、3月に法廷談話収集を行ったため、その書き起こしとある程度の分析を実施した後、インタビュー調査を実施することにする。全体の計画において大きな遅れにはならないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に収集した通訳を介した法廷談話の分析を進め、法廷参与者にインタビューを実施し、インタビュー談話を収集し、法廷実践と参与者の意識の双方のレベルから談話分析を実施し、論文執筆、学会等での発表を行う予定である。
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Research Products
(5 results)