2015 Fiscal Year Annual Research Report
ドコサヘキサエン酸の後期エンドソーム特異的リン脂質BMPにおける機能の解明
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15H06600
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
李 賢哲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), ポスドク (30758321)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 脂質 / リン脂質 / DHA / BMP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は後期エンドソームに特異的に存在する非常にユニークなリン脂質であるBMP(Bismonoacyl(glycero)phosphate)が、ω3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)を何故豊富に含むのか、その生理的意義を明らかにすることを目的とした研究である。今年度の当初の予定ではBMPへのDHAの導入に関わる酵素ABHD4の欠損マウスを用いて生化学的解析および脂質解析を行い、それによってDHAの後期エンドソーム特異的リン脂質への導入経路に関わる酵素の性状解析、およびそれらの機能阻害によって引き起こされる酸化ストレスの評価を行う予定であった。しかし、米国スクリプス研究所から搬入予定であったABHD4欠損マウスの搬入が当初の予定より大幅に遅れ(現在搬入個体の選別を終え、搬入手続きが終了間際である)たため、本年度はABHD4欠損マウスが到着し次第迅速に実験を行えるよう、実験系の立ち上げおよび次年度に行う予定であった他の欠損マウスやモデル動物の作製に注力した。その結果、まず生化学的解析(酵素学的解析)に必要不可欠な脂質測定系について、当初の想定よりもはるかに高感度な実験系を確立することに成功した。また、より広範囲な脂質の解析が行えるよう脂質測定系を改良し、遊離脂肪酸を含むほぼ全てのメジャーな脂質分子を測定・定量する系を構築した。さらに、本研究計画の鍵となるFADS2欠損マウスの作製についてもほぼ終了することが出来た(現在掛け合わせ中)。さらに、飼料調製マウス(具体的にはω3脂肪酸リッチなマウス)についても条件検討を終え、実際にω3脂肪酸リッチなマウスを作出することに成功している。今後、これらの実験系を用いてBMPが何故DHAを何故豊富に含むのか、その生理的意義の解明に挑む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では本年度はABHD4欠損マウスを用いた生化学的解析および脂質解析を行う予定であったが、米国スクリプス研究所から搬入予定であったABHD4欠損マウスの搬入が当初の予定より大幅に遅れ(現在搬入個体の選別を終え、搬入手続きが終了間際である)たため、実験系の立ち上げおよび次年度に行う予定であった他の欠損マウスやモデル動物の作製に注力した。その結果、生化学的解析・脂質解析に必要な実験系、特に当初の想定よりもはるかに高感度な実験系を確立することに成功し、また本研究計画の鍵となるFADS2欠損マウスの作製についてもほぼ終了することが出来た(現在掛け合わせ中)。さらに、飼料調製マウス(具体的にはω3脂肪酸リッチなマウス)についても条件検討を終え、実際にω3脂肪酸リッチなマウスを作出することに成功している。これらのことから、現在はABHD4欠損マウスが到着し次第、様々な実験を開始することが可能な状況にあり、研究の全体的な進捗状況としては概ね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はABHD4欠損マウスが到着し次第、生化学的実験および脂質解析を行う。また、それらの実験と同時に(作製がほぼ完了した)FADS2欠損と交配させたり、調製飼料を与えたりして、vivoレベルでの表現型解析にも着手する。
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