2015 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーによる大脳皮質基底核変性症の新規原因遺伝子探索
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15H06601
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大垣 光太郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (20459035)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 大脳皮質基底核変性症 / 遺伝子 / 神経内科 / 神経科学 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
【当該年度に実施した研究の成果】 申請者は大脳皮質基底核症候群 (CBD) の原因遺伝子を単離可能な優性遺伝性CBD家系を見出した。世界的に見ても、CBDの姉妹発症例は稀で父親にも同様の症状があったことから、家族性の単一遺伝子のヘテロ変異によって発症していると推定し、平成27年度は本家系の患者家族を調査し、家系図・神経学的所見・画像所見・遺伝子採血を8名で試行した。8名の血液中リンパ球より、DNAを抽出した。そのうち発症者2名と非発症者2名のDNAを用い、現在エクソーム解析 (次世代シークエンサーによる高速配列決定)を行っている。具体的には、ゲノムDNAを断片化し、ゲノムライブラリーを作成。SureSelect Human All Exon V5+UTRs Kit (Agilent Technologies社)をもちいてターゲット領域 (exon領域) のゲノムDNA断片を濃縮。HiSeq2500システム (illumina社) を用いてシークエンスを行っている。シークエンスは100bペアエンド (6 Gbシークエンス/サンプル) 用いている。
【意義/重要性】 申請者は大脳皮質基底核症候群 (CBD) の原因遺伝子を単離という目標に対し、平成27年度中にその最も中核的役割と言える①家系の発掘・調査・遺伝子の収集と②エクソームシークエンスを進めることができ、平成28年度のデータ解析に向けて概ね順調に進行していると言える。現在、解析が終了しておらず、原因遺伝子は同定されておらず、明確な医学的意義や重要性は報告できない状況であり、引き続き研究を推進していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大脳皮質基底核変性症 (CBD) の大家系を見出し、詳細な家計調査と遺伝子採血を行い、家系のうち8名のDNAを抽出した。備品の購入も含め解析環境を整え、平成27年度中に次世代シークエンサーでの解析が始まっており、最初の6ヶ月での進捗状況としては、概ね順調に進展していると考え得る。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソーム解析で得られた、膨大な遺伝子情報の中から、大脳皮質基底核変性症 (CBD) 患者群に共通する遺伝子変異を抽出し、パブリックデータベースの遺伝子情報などを用いフィルターにかけ、候補遺伝子を絞り込む。選定された複数の遺伝子に置いて、申請者が2015年まで留学していたメイヨークリニックが誇る世界最大級のCBD遺伝子バンクのDNA (500サンプル) を用い、サンガーシークエンスを行う (大規模スクリーニング)。本家系以外でのCBD症例で遺伝子変異が複数同定されることで、CBD原因遺伝子を同定・単離可能と言える。同時に大規模スクリーニングにより、臨床像-遺伝子変異-病理像の関連性や孤発性CBDに与える同遺伝子変異の頻度・影響力などを明らかにする。
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