2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H06607
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
星野 真理江 昭和大学, 歯学部, 助教 (10756464)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、シスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)およびシスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)がシスチンを基質としてイオウ原子が多数つながったpersulfideを生成することが明らかとなった(Proc Natl Acad Sci USA 11: 7606, 2014)。Persulfideは化学的反応性が極めて高いことから活性イオウ種(RSS)と呼ばれ、細胞内酸化還元環境の維持やシグナル伝達に重要な役割を果たす可能性が示唆されているが、硬組織における役割は全く分かっていない。そこで申請者は、RSSの軟骨内骨化における役割を解析したところ、RSSの前駆物質であるNaHSは軟骨細胞の増殖や骨格成長を著しく促進することを見出した。この発見は、全く新しい軟骨代謝調節システムとして位置付けることができる。そこで本研究は、軟骨代謝におけるRSSの役割を解明することで、軟骨疾患の新規治療方法の開発基盤を確立することを目的とする。 本年度の研究において、活性酸素種シグナル伝達系に関与する内因性親電子物質の一つである、8-ニトロ-cGMPが軟骨細胞の増殖に有意に関与することを裏付けるデータを得ることができた。RSSは8-ニトロ-cGMPをスルフヒドリル化(-SH基の付加)することが知られており、軟骨細胞の代謝調節システムとRSSの相関関係を見いだすことができる第一歩であると言える。また、脛骨成長板軟骨における8-ニトロ-cGMPの免疫染色によって、増殖軟骨細胞層における8-ニトロ-cGMPの発現を確認することができた。このex vivoの実験系からも、軟骨細胞の代謝調節システムとRSSの新たな相関関係が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に関して、第1回骨免疫学会、第15回 東京骨関節フォーラム、第33回日本骨代謝学会学術集会で学会発表を行うことができており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マウス胎仔脛骨の器官培養の実験系にて骨・軟骨組織におけるRSSの生成を明らかにする。 2) 初代培養軟骨細胞の分化・増殖過程におけるRSSの生成を解明する。 3) RSS前駆物質であるNaHSが軟骨細胞の増殖・分化・機能発現に及ぼす作用を明らかにする。 4) RSSによってスルフヒドリル化する親電子物質を同定し、その親電子物質の機能変化を明らかにする。
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Research Products
(1 results)