2015 Fiscal Year Annual Research Report
セリア安定化アルミナ・ジルコニアインプラントの開発
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15H06609
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大嶋 瑶子 昭和大学, 歯学部, 助教 (50756442)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 歯科材料 / 歯科インプラント / オッセオインテグレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科用インプラント材料として現在最も広く用いられている材料はチタンであり、審美性の問題とアレルギーの問題が懸念されている。Ce-TZP/Al2O3(セリア安定化ジルコニア/アルミナ・ナノ複合体)は、現在歯科で使用されているイットリア系ジルコニアと比較して約2倍の強靭性と、口腔内のような水熱環境下でも劣化しない優れた特性を有する。本研究の目的はCe-TZP/Al2O3インプラントフィクスチャーの開発である。すでに我々は表面にフッ化水素酸処理を施したCe-TZP/Al2O3が骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)の分化を促進する結果を得ている(論文投稿中)。本研究は骨芽細胞分化促進のメカニズムを明らかにし、Ce-TZP/Al2O3の各種細胞に対する影響と動物実験によりCe-TZP/Al2O3の骨結合能を生体力学的に評価する。 平成27年度はin Vitroでの研究でフッ化水素酸処理後の表面解析を行った。ジルコニアの結晶構造は、温度により相転移を起こし、構造が変化する。室温では、単斜晶となり、1170℃で正方晶、2370℃で立方晶となる。正方晶から立方晶に変化する際に、体積が約4%収縮する。フッ化水素酸処理により、ジルコニアの結晶構造に変化がみられるかどうかを、XRD(X線回折)で観察し、フッ化水素酸処理後の結晶性・配向性の評価を行った。その結果、Ce-TZP/Al2O3は、フッ化水素酸処理を行う前と後とでは、処理後の方が処理前よりも正方晶の割合が高く、単斜晶が減少した。よって、Ce-TZP/Al2O3がフッ化水素酸処理を行った場合でも、安定した結晶構造であり、強度に関しては、問題ないことが示唆された。 今後の研究では、①動物実験(ラット大腿骨にミニインプラント埋入し4週間後のPush-in Test計測。)②骨芽細胞の分化促進のメカニズム解析(RT-PCR,マイクロアレイによる網羅的遺伝子解析③適切なインプラント形状の模索(破断試験、有限要素解析による加重疲労試験)を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
XRDに関しては、機器の使用と解析方法が高度で、時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究では、ラット大腿骨にミニインプラントを埋入し2週間後のPush-in Testを行ったが、長期的予後のミニインプラントと骨との結合力を評価する上で、4週間後の実験を行う必要がある。また、インプラント形状を決めた後、インプラントを製作、動物実験を行い、インプラント形状の適正確認を行う予定である。
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Research Products
(1 results)