2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06617
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鮭川 矩義 中央大学, 理工学部, 助教 (20757710)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 多面体 / 直径 / 上界 / 多項式性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まず,Kalai-Kleitman不等式について研究を進めた.数値実験によって同不等式から導出される多面体の直径の上界を探求し,理論的な証明を与える,という作業を繰り返した.結果として,次元が3以上で正しく,次元が3の場合にタイトな上界を得た.これは,Toddによる2次元でタイトな上界の改良版とみなせる.Toddの証明から着想を得ているが,多面体の次元を3以上に限定するという発想に新規性がある. 次に,kを変数として,次元をk以上に限定した場合の上界について研究を進めた.先ほどの結果は,k=3の場合の結果とみなせる.研究計画の段階では,任意のkについて上界を改善することを目標としていたが,これには,今のところ,失敗している.一方,固定されたkについて上界を改善する方法を確立した.既存研究とは異なり,低次元では良い値を出す既存の上界と計算機を利用した新しい証明方法である.これにより,高次元に限定すると,証明方法が強化され,2乗,3乗と,上界値のオーダーが改善されることを確認した.今後の課題は,これらの結果が示唆する,一般に成り立つより良い上界を証明することである. この証明方法は,最近,Gallagher-Kimによって,Kalai-Kleitman不等式と同様の不等式が得られている,有界多面体と単体的複体へと拡張された.彼らはさらに,面の数が十分大きい場合の多項式上界を得ている.本研究では,彼らの結果に対するより簡潔な別証明を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,任意の整数kについて,次元をk以上に限定した場合の直径の上界を得ることを目標にしていたが,これに失敗し,その原因究明に時間を要した.そのため,研究がやや遅れている.一方,失敗する簡潔な理由を知ることができた.これに基づき,研究の方向性を修正し,任意の整数kではなく,固定されたkについて上界を改善する方法を提案した.結果として,多面体の次元を高次元に限定することで上界がさらに改善されることを実証できた.
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Strategy for Future Research Activity |
去年度に証明に失敗,あるいはKalai-Kleitman不等式からは証明できないことを確認した,上界よりも少しだけ弱い上界の証明を試みる.これらの少し弱い上界は,実験的には正しいが,証明が未完成という状態である.また,最近,格子多面体の直径が上界と下界の両面から改善されたが,上界については改善の余地があり,これについて共同研究者のDeza氏と取り組む予定である.
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