2015 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動に対する雪氷微生物の応答を考慮した氷河融解・流出モデルの構築と水資源評価
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15H06642
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
朝岡 良浩 日本大学, 工学部, 准教授 (00758625)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 熱帯氷河 / アルベド / 雪氷藻類 / ボリビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は熱帯氷河を対象として、雪氷藻類の増殖に伴うアルベド低下を考慮した氷河融解流出モデルを構築して、氷河が分布する流域の水資源評価を目的とする。 研究初年度は、(1)衛星データによる氷河変動の解析、(2)氷河融解・流出モデルの改良と検証、(3)現地調査の3項目に取り組んだ。 得られた知見として、(1)ボリビア首都圏の主要水源であるトゥニ貯水池の上流に分布する氷河面積は、1987年と比較して2014年には約40~45%減少したことをLandsat衛星のTMおよびOLI画像の解析から明らかにした。(2)積雪層と氷河層の厚さを考慮してアルベド変化を推定するスキームを氷河・融解流出モデルに組み込み、ソンゴ氷河のアルベド、質量収支および氷河直下の流量の観測データを用いてモデルの検証を行い、概ね良好な精度を得た。また、現段階のモデルをトゥニ貯水池流域へ適用して、氷河後退に対する水資源評価に着手した。(3)3月にボリビア国に渡航し、トゥニ貯水池流域の水文・気象モニタリング網のメンテナンス・データ回収を行った。また共同研究機関と今後のモニタリングの役割分担に関する打ち合わせを行い、サンアンドレス大学水理・水文研究所と合意に至った。さらに前年度までにコンドリリ氷河でサンプリングした試料を用いて雪氷藻類の総バイオマス量の空間分布を解析したところ、雨季の裸氷域内(おもに中流域から下流域)では標高に伴う有意な変化がなく、上流側の積雪域では大きく低下することを示した。 次年度は雪氷藻類のバイオマス量とアルベドを関係付け、氷河・融解流出モデルに組み込み、雪氷藻類によるアルベド低下が氷河後退および水資源への影響を評価する予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は十分な現地観測を実施できなかったが、対象とするトゥニ貯水池流域において、これまでに蓄積した水文・気象データと、現行の氷河融解・流出モデルを用いて水資源評価を実施できる体制は整備できた。同様に、前年度までにサンプリングした氷河上の試料を解析することによって氷河上の雪氷藻類の空間分布を把握することができた。そのため、現時点の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コンドリリ氷河を対象として氷河上のアルベド測定と雪氷藻類のバイオマス量の調査を行う。氷河上の現地観測は、過酷な環境と危険を伴うことから、十分な観測データを得ることは困難な状況である。観測データの不足を補填するため、リモートセンシング画像から得られるアルベドの空間情報も導入して、氷河アルベドと雪氷藻類のバイオマス量の関係について定式化を試み、アルベド推定スキームの改良を進める。さらに、氷河融解・流出モデルへ導入し、これまでに蓄積した水文・気象データを用いてモデルの妥当性を検証する。最終的に雪氷藻類が氷河融解および水資源量に及ぼすインパクトを明らかにする。
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Research Products
(8 results)