2015 Fiscal Year Annual Research Report
矯正治療中に生じる歯根吸収のNotchシグナルとWntシグナルの関連性
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15H06648
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菊田 純 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (10759632)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 歯根吸収 / Wntシグナル / Notchシグナル / 歯根膜細胞 / 矯正力 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:矯正治療による歯根吸収発生において、歯根膜細胞と破骨前駆細胞におけるシグナル伝達が関与することが示唆されている。強い矯正力によりヒト歯根膜細胞 (hPDL cells)のNotchシグナルが活性化され、RANKL、IL-6の発現が促進されることで、歯根吸収を引き起こすことが報告されている。また、hPDL cellsにおいて、Wntファミリー遺伝子であるWnt5aが著明に発現し、石灰化誘導にてその発現が上昇することが明らかになっている。このことより、矯正学的歯の移動時に生じる歯根吸収の発生に歯根膜細胞と破骨前駆細胞におけるNotchシグナル伝達とWntシグナル伝達が関与している可能性が考えられる。そこで本研究では、Wntシグナルが矯正学的歯の移動時における歯根吸収に及ぼす影響およびNotchシグナルとの関わりについて検討した。
資料及び方法:In vivoにおいて、Wistar系雄性ラットの上顎第一臼歯を50gの矯正力にて牽引し、当該部の切片はHE染色を行った。In vitroでは、hPDL cellsに至適矯正力モデルとして1.0g/cm²、強い矯正力モデルとして4.0g/cm²の荷重(compression forces : CF)を24時間作用させ、CF1g群、CF4g群とし、real-time PCR法にてwnt1、wnt3a、wnt5aの遺伝子発現量を検討した。
結果及び考察:In vivoでは圧迫側歯根膜に破骨細胞が発現し、歯根吸収が認められた。 In vitroではhPDL cellsにおいて、CF1g群、CF4g群共にwnt1、wnt3a、wnt5aの遺伝子発現の増大が認められた。このことから、矯正学的歯の移動時における歯根吸収にwntシグナルが関与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の計画では、in vivoでラットを用いた実験的歯根吸収モデルにて、歯根膜細胞におけるNotchシグナル関連遺伝子及びWntシグナル関連遺伝子の発現を検討すること、遺伝子ノックアウトマウスを用いてRANKL、RANK、OPG、ALP、COL1の発現量を検討する予定であった。 実験的歯根吸収モデルにおいて、強い矯正力を負荷した際に歯根吸収が生じることは確認できたが、Notchシグナル関連遺伝子及びWntシグナル関連遺伝子の発現を検討することまでは遂行できなかった。また、遺伝子ノックアウトマウスを用意することが困難であり、実験が遂行できなかった。 In vitroにおいては平成28年度に行う予定であったhPDL cellsにおける圧迫側モデルを用い、Wnt関連遺伝子の発現を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では平成27年度に遂行できなかったin vivoでの実験的歯根吸収モデルにて歯根膜細胞におけるNotchシグナル関連遺伝子及びWntシグナル関連遺伝子の発現を検討し、遺伝子ノックアウトマウスを用いてRANKL、RANK、OPG、ALP、COL1の発現量を検討する。 次にin vitroでは、hPDL cellsにwnt5a、Jagged1刺激を行いRANKL、IL-6、TNF-α、OPG、ALP、COL1のタンパク発現量と遺伝子発現量の検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)