2015 Fiscal Year Annual Research Report
上顎犬歯窩周囲への傾斜埋入のピットフォールは?-安全性・安定性向上への指針作成
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15H06651
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
浅井 まどか (鈴木まどか) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80757310)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 犬歯窩 / 歯科用コーンビームCT / 骨形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では、無歯顎の乾燥頭蓋骨22体および解剖献体2体計4体(48側)を、歯科用コーンビームCT装置で上顎骨全体の撮影をした。犬歯窩周囲の骨形態(梨状口外縁と上顎洞の内側壁で形成される部位)について、骨形態分類および近遠心的距離と頬舌側的距離の計測を行った。形態解析は、すべての症例で前鼻棘レベルから10スライスごと(1スライス=0.155mm)の計8スライス(前鼻棘、前鼻棘+10スライス~+70スライス)の計測を対象とした。近遠心的距離は前鼻棘および梨状口外縁から上顎洞前端までの距離までを計測した。また、頬舌側的距離は近遠心的距離を4分割し近遠心的距離に対して垂直に皮質骨頬側面から舌側面までの距離を計測した。全体および各分類ごとの距離の平均値をそれぞれのスライスごとに算出した。 1、犬歯窩周囲の形態:Ⅰ型(長方形型)、Ⅱ型(台形型)、Ⅲ型(正三角形型)、Ⅳ型(二等辺三角形型)の4つに分類され、Ⅰ型は12症例、Ⅱ型は14症例、Ⅲ型は14症例、Ⅳ型は8症例であった。 2、近遠心的距離および頬舌側的距離: (1)近遠心的距離は上方に行くにつれて値が小さくなったが、前鼻棘+70スライスレベルではやや値が大きくなった。骨形態分類別においても、Ⅱ型、Ⅳ型でも同様の傾向が認められたが、Ⅲ型においては前鼻棘+60スライスレベルから上方に徐々に値が大きくなり、Ⅰ型においては上方であるほど値が小さくなった。 (2)頬舌側的距離は全体的評価および骨形態分類別評価においても上顎洞前端から前鼻棘および梨状口外縁に向かうにつれて値が小さくなるが、前鼻棘+60スライスレベルまで上方に行くにつれ幅も徐々に狭くなる傾向がみられ、前鼻棘+70スライスレベルで幅はやや大きくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
購入した歯科用コーンビームCTのソフトに対応するパソコンが特注であり、パソコンが出来上がるのが予定よりかなり遅くなってしまった。それまでは研究室に置いてあった古いバージョンのソフトを用いて犬歯窩周囲の骨形態と同部の近遠心的距離および頬舌側的距離の検討していた。新しいパソコンが届き、再度距離の計測を行ったため、研究の進行が遅くなってしまった。 撮像に関して、乾燥頭蓋骨および解剖献体は頭頸部のみで、撮像する際固定をするのが不安定で撮像をするのが難しく、時間がかかってしまった。 検討に関しては、参照点の決定が困難であった。始めは、高さの基準を下位は前鼻棘とし、上位は眼窩下孔下縁までとし、その間を4分割し、各々の高さで近遠心的距離および距離の計測をしていたが、眼窩下孔下縁部は明瞭には画像に描出できないため、検討を変更した。今回、前鼻棘を基準に、前鼻棘レベルから10スライスごとの計8スライス(前鼻棘から+70スライスまでの範囲)の設定にしたのは、インプラントを埋入する際にそのくらいの高さまであれば高さに関して十分であるので、それを基準に再度検討を行った。近遠心的距離の検討に関しては検討しやすく研究は思うように進んだが、頬舌側的距離の検討は、皮質骨頬側面が直線的な骨形態や膨隆している骨形態、梨状口外縁部の皮質骨が彎曲している形態など様々な骨形態があり、計測の仕方が困難であった。よって、前鼻棘および梨状口外縁から上顎洞前端までの直線すなわち近遠心的距離に対して垂直に皮質骨頬側面から舌側面までの距離を計測した。 以上のことから、研究の進行が遅くなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
1、歯槽管の関係を検討するために、解剖学的指標となる参照点から距離を計測、上顎犬歯窩周囲内での歯槽管の走行を検討する。 2、解剖献体の上顎犬歯窩周囲の解剖を行い、肉眼的に脈管・神経の走行や周囲構造物とのいい関係、脈管の種類などを検討する。また、同部の切片を作製し、顕微鏡下で脈管・神経および骨の構造を観察する。 3、歯科用コーンビームCTから検討した上顎犬歯窩周囲の骨形態から特徴的な形態のものを複数型抽出し、三次元画像作成・合成およびSTL形式出力用ソフトウェアを用い、骨の形態分類を行った結果を得られた形態モデルで応力解析を行う。 4、犬歯窩周囲骨にインプラント治療を考える際の、骨形態の違い、脈管・神経の分布、応力分布から骨形態や強度に対応できる安全で安定な犬歯窩周囲へのインプラント埋入について、臨床にフィードバックが可能なガイドラインを提示する。そして、画像診断のガイドラインを作成する。 この結果を元に発表や論文投稿を行う。
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Research Products
(1 results)