2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H06757
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
前田 英之 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80756099)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 九州 / 荘園制 / 鎌倉幕府 / 地頭制 / 宇佐 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鎌倉幕府による九州支配について、従来の研究が注目してきたa)大宰府機構、b)国ごとに設置された守護、の果たした役割を再検討し、その上で、特にc)荘園に設置された地頭(惣地頭-小地頭)に着目して分析を加えることで、その展開過程を実態的に明らかにすることを目的とする。 平成27年度については、平安後期~鎌倉初期における関連史料の網羅的収集に取り組み、さらにはその読解と整理を進めた。また、あわせて関連する先行研究を読み進めることもできた。これらにより、鎌倉幕府が九州に地頭を設置していく際の方針や、設置に際して直面した問題点などが明らかになってきた。以上の研究内容を踏まえて平成28年度の研究に取り組み、鎌倉期を通じた地頭制の展開過程を追っていくことにしたい。 今年度の具体的な研究成果としては、九州における宇佐宮の位置づけに注目し、九州諸国に賦課され徴収された造宇佐宮役を素材に、地頭制の設置・展開過程を検討した学会報告「鎌倉期造宇佐宮役の研究」を行った(本研究成果については、論文化して次年度に公表する予定)。また昨年刊行された関連書籍に関する紹介を学術雑誌に掲載した。引き続き、学会報告・論文による研究成果の公表につとめていきたい。 なお、研究を進めるにあたり、大分県を現地調査して宇佐宮の式年遷宮についての具体的なイメージを得るとともに、従来の研究が注目してきた地頭が設置されたいくつかの荘園を実際に訪れたほか、関連文献を入手することもできた。今回の調査成果は上記学会報告にて活用したが、今後の史料読解や研究でも参照したい。今年度も現地調査を実施できればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連史料の収集については、予定どおり順調に行うことができ、あわせてそれらの読解も進めることができた。 平成28年度も、引き続き史料収集・整理を進めるとともに、学会報告や論文執筆により研究成果の公開にもつとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、上記した前年度の研究成果を踏まえつつ、さらに史料収集・整理を進め、平安後期~鎌倉中期までを見通した総括的な研究を行っていく予定である。関連史料の収集に際しては、東京大学史料編纂所や九州の研究機関などにも出張し、できるだけ網羅的な収集につとめたい。 また、あわせて研究成果の公開にも努力する。具体的には、学会(日本史研究会中世史部会など)での研究報告を積極的に実施するとともに、その報告・討論を踏まえて論文を執筆して学術雑誌への投稿を目指す。さらには、本科研費で得た研究成果とこれまでの発表論文をあわせて著書としてまとめることで、研究成果をより広く公開できればと考えている。
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Research Products
(2 results)