2015 Fiscal Year Annual Research Report
The japanese team strategic process for founding organizational capabilities
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15H06758
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
庭本 佳子 摂南大学, 経営学部, 講師 (70755446)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 経営学 / 経営戦略 / 組織能力 / ダイナミック・ケイパビリティ / リーダーシップ / 現場組織 / 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究課題は、「チーム活動を通した日本企業の戦略形成プロセス」である。本研究は、日本企業の戦略が形成されていくプロセスを、現場のチーム活動による学習とチーム・リーダーシップの視点から分析するものである。 進展するグローバル化を軸に激しく変動する現代社会が、企業の直面する経営環境である。本研究では、まず理論研究によって、この環境変化に対応すべく多くの企業で展開されているチーム活動について、研究開発・生産・販売等の職能別に詳細に分析した。 その結果、第一に、組織の環境適応は、トップ・マネジメントの戦略的意思決定によってのみなされるものではなく、むしろ戦略実践の最終的意思決定が繰り返される現場組織において、学習と自己変容による環境適応プロセスの重要性が示唆された。 第二に、日本企業のチーム活動を起点とする戦略形成プロセスに関する統合的モデルの構築に向けて、各チームの自律的戦略行動とチーム・リーダーシップのインターフェイスを3段階に分けて類型化できることが示された。 第三に、とりわけ、事例分析に先立つパイロット調査において、現場組織の環境適応行動に有効なリーダーシップとして分散型リーダーシップの態様を観察することができた。この分散型リーダーシップは、従来は、メンバーへの権限委譲と動機づけの文脈で観察されることが多かったものであるが、本研究では分散型リーダーシップがメンバーの職務満足といったミクロ的視点にとどまらず、組織のケイパビリティ形成の基礎として戦略的意義を有していることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事例分析予備的調査結果の分析において、プロジェクトチームの組織能力を高めるリーダーシップが、予測されていた自律的戦略行動だけではなく分散型リーダーシップにも関連することを発見した。そのため、本研究の目的である組織能力とリーダーシップの統合モデルの構築のために、研究方式を見直し2ヶ月間の結果の分析及び2ヶ月間の文献調査を加え、各リーダーシップの関連性を詳細に分析する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、理論研究及び質的調査を継続的に行い、現場組織における環境適応行動とリーダーシップのインターフェイスという分析視点から、現時点で示している統合モデルの追試を進めていく予定である。
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