2016 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノホールアレイを用いた高感度小型蛍光バイオセンサの開発
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15H06766
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
當麻 真奈 関西学院大学, 理工学部, 助教 (20756697)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2018-03-31
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Keywords | 表面プラズモン共鳴 / ナノ材料 / バイオセンサ / コロイドリソグラフィー / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は低コストで簡便な手法で作製した金属ナノホールアレイの光学特性を評価・制御するとともに、高感度の小型蛍光バイオセンサへの応用を目的としている。これまでの研究では、金属ナノ構造の作製および光学特性評価のための光学系の構築について取り組んできた。平成28年度は主にセンサ基板表面の化学修飾法に関する基礎的な検討を行った。センサ表面の化学修飾は、センサの検出感度や表面の安定性および非特異吸着特性などを改善するうえで重要であり、化学修飾法の確立は本研究でも主要な研究要素の一つである。具体的には、ムール貝の接着機構を模倣したポリドーパミン薄膜に着目し、通常の伝搬型の表面プラズモン分光法および表面プラズモン増強蛍光分光法を用いて、ポリドーパミン薄膜の有用性を検証した。ポリドーパミン薄膜で修飾されたセンサ基板を用いて、サンドイッチイムノアッセイ法により炎症マーカーを検出した実験では、検出対象の高感度測定が可能であることが示された。ポリドーパミン薄膜を用いることで、センサの検出感度を犠牲にすることなく、センサ表面の修飾プロセスを簡略化できることがわかった。ポリドーパミン修飾は様々な材料の基板表面に適用可能であるので、汎用性が高く、バイオセンサ表面の化学修飾に広く用いることができると考えられる。加えて、平成28年度は平成27年度に構築した光学系を制御する制御ソフトを導入し、制御ソフトの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
金属ナノホールの作製に関しては、PS粒子の収縮には真空プラズマ装置を用いる予定であったが、装置が利用可能な施設が見つからなかったため、大気圧プラズマ装置を用いることに変更した。大気圧プラズマ装置では、高密度なプラズマが局所的に噴射されるために、プラズマ処理後に粒子膜の均一性が保たれないなどの問題が生じており、構造の見直しなどを行う必要があった。また、センサ表面の修飾法に関する検討を行ったため、金属ナノ構造を用いたセンサの開発はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では引き続き構造の作製や光学系の制御システムの開発を進めるとともに、当初予定していた生体分子の検出も行っていく。構造の作製に関しては、大気圧プラズマ処理を用いない金属周期ナノ構造体の作製およびその光学特性評価についても検証を行う。それに加えて、作製した金属ナノ構造体をポリドーパミンで化学修飾して抗体タンパク質などを化学結合させ、バイオセンサとして用いた場合の構造の安定性、および検出対象物質の検出感度などの評価を行う。
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Research Products
(2 results)