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2015 Fiscal Year Annual Research Report

がん細胞におけるmRNAの四重鎖形成による転写因子E2F3の発現制御機構

Research Project

Project/Area Number 15H06770
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

荒木 啓吾  関西学院大学, 理工学部, 助教 (50756674)

Project Period (FY) 2015-08-28 – 2017-03-31
Keywords癌 / 転写因子E2F3 / 発現制御 / 転写 / グアニン四重鎖
Outline of Annual Research Achievements

In vitro転写系の実験でグアニンに富んだ配列を鋳型DNAとした場合、転写が途中で終結するという知見をこれまでに得ていた。そこで、E2F3遺伝子のグアニンリッチ領域においても転写が終結するかを検討した。E2F3遺伝子のグアニンリッチ領域のグアニンをシトシンに置換した鋳型DNAでは転写が最後まで進んだが、E2F3遺伝子のグアニンリッチ領域をそのまま鋳型DNAとして用いた場合には転写産物の長さが短くなっていた。これより、E2F3遺伝子においてもグアニンリッチ領域が転写終結のシグナルとなる可能性が考えられた。
次に、正常細胞と正常細胞をがん化させた細胞においてE2F3の発現量をmRNAレベルで比較した。その結果、がん化することでE2F3の発現量が上昇することを確認した。また、nativeプロモーターで発現が制御されていないE2F3遺伝子を外来性に導入した場合でも、がん化のシグナルによって外来性E2F3の発現が上昇することを明らかにした。このことは、プロモーター非依存的にE2F3の転写・発現を上昇させる機構が「がん化」によって活性化されることを示している。
さらに、がん化した細胞においてE2F3の転写産物として従来知られているものとは別の転写産物があることをPCR法により同定し、DNA配列を解読した。その結果、現在知られているFull Length のE2F3 mRNAに比べ、この新しいE2F3転写産物は中間部の配列が欠損していることが分かった。さらに、この中間部欠損によりフレームシフトが起き、カルボキシル末端は現在知られているE2F3のカルボキシル末端とは全く異なるアミノ酸配列になっていた。
今後の展開としては、これらの現象とグアニンリッチ領域における四重鎖形成との因果関係を詳細に検討する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

最初に「グアニンに富んだ配列を鋳型DNAとした場合、in vitro転写系の実験において転写が途中で終結する」という知見をE2F3遺伝子のグアニンリッチ領域にも適用できるかを検討し、E2F3遺伝子においても転写が終結することが確認できた。次に、正常細胞と正常細胞をがん化させた細胞を比較したところ、がん化することでE2F3の発現量がmRNAレベルで上昇することが分かった。また、nativeプロモーターで発現が制御されていないE2F3遺伝子を外来性に導入した場合でも、がん化のシグナルによって外来性E2F3の発現がmRNAレベルで上昇することを明らかにした。以上より、E2F3の転写制御機構としてプロモーター非依存的な機構があることが示唆された。
これまでに「E2F3遺伝子のグアニンリッチ領域はE2F3の転写・発現制御に影響を及ぼすのではないか」という仮説をサポートする結果を得ることができた。今後の展開としては、これまでに得られた現象とグアニンリッチ領域における四重鎖形成との因果関係を詳細に検討する予定である。
さらに、がん化した細胞においてE2F3の転写産物として従来知られているものとは別の転写産物があることを明らかにした。この新たなE2F3転写産物の発現制御に対する「グアニンリッチ領域における四重鎖形成」の影響は今後の検討が必要だが、新たなE2F3メンバーを同定できたことで更なる研究の発展が期待できる。

Strategy for Future Research Activity

E2F3遺伝子のグアニンリッチ領域において転写が終結することをin vitroの実験で確認できたことから、今後、このグアニンリッチ領域で四重鎖が形成されているかを「核酸四重鎖認識抗体」を用いて検討する。この「核酸四重鎖認識抗体」は共同研究者が作製しており、すでに完成しているので譲渡してもらう予定である。
次に、プロモーター非依存的にE2F3の転写を上昇させる機構が「がん化」によって活性化されることを示唆するデータを得ているので、この現象がE2F3 mRNAのグアニン四重鎖形成によるものなのかを細胞レベルで検討する。そのため、正常細胞と正常細胞をがん化させた細胞において「核酸四重鎖認識抗体」を用いて、mRNA免疫沈降法を行う予定である。
また、正常細胞とがん化させた細胞でE2F3 mRNAのグアニン四重鎖形成に差があることを確認できた場合、どのような要素が四重鎖形成に影響を与えているのかを解析する。核酸の四重鎖形成はカリウムによって安定化されるので、がん細胞においてカリウムチャネルの発現が上昇し、細胞内カリウム濃度が低下しているために四重鎖形成が抑えられていることが予想される。そこで、細胞内カリウム濃度との関係を明らかにするためにカリウムチャネルブロッカーを用いて解析を行う。
今後の展開としては、「核酸四重鎖認識抗体」が完成したことから、実際にE2F3遺伝子においてグアニン四重鎖が形成されているかに焦点を当てて研究を推進する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] アデノウィルスE1aによる転写因子E2F3の新たな発現調節機構2015

    • Author(s)
      荒木啓吾、服部拓、行本愛、川内敬子、大谷清
    • Organizer
      第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会合同大会
    • Place of Presentation
      神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
    • Year and Date
      2015-12-02 – 2015-12-02

URL: 

Published: 2017-01-06  

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