2015 Fiscal Year Annual Research Report
関節間シナジーに着目した加齢による歩行運動の変容とその対策の検討
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15H06821
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
垣内田 翔子 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90638537)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 関節間シナジー / 歩行 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年者の歩行中の脚関節軌道は一歩毎に若干異なっているが、遊脚中に足先が最も地面に近づく瞬間(MTC)などつまずきの生じやすい瞬間には、一歩毎の足先の高さのばらつきを抑えるよう各関節の連携(関節間シナジー)が存在する。一方、高齢者では、このMTCの瞬間の足先の高さの一歩毎のバラツキが大きくなることの報告がある。本研究では、加齢による歩行中の関節間シナジーの変化を明らかにすること、加齢による歩行運動の衰えが関節間シナジーに原因があるかを探り、つまずきの多い高齢者の歩行中の転倒予防のためにどのようなリハビリが効果的であるかを考察することが目的である。 本年度は、6名の女性高齢被験者の自由歩行における関節間シナジーの解析を行った。また、若年者の自由歩行における関節軌道の計測を行い、高齢者と同様の関節間シナジーの解析を行っている。若年者6名との関節間シナジーの特徴を比較した結果、70歳代の女性高齢者では、自由歩行中のMTCの瞬間において、関節間シナジーには加齢による変化が観察されなかった。ただし、この点においては例数を増やしさらに検討を進めていく。また、性差によらず、同様の結果が得られるかを確認するため、男性高齢者の自由歩行計測に向けた実験環境の整備を行っている。さらに、本年度はつまずきの多い高齢者の歩行中の転倒予防のためにどのようなリハビリが効果的であるかを関節間シナジーの視点から考察していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、若年被験者及び、70歳前後の男性被験者の自由歩行計測及び関節間シナジーの解析を行う予定であった。前者については、順調に進んでいるが、後者はまだ実験環境の整備にとどまっている。一方で、高齢の女性被験者においては、加齢による関節間シナジーの変化が観察されないことがわかった。そのため、高齢者のつまずきの原因には関節間シナジーの変化は関係していないことが予想された。そのため、新たに可操作性の視点から加齢による歩行脚姿勢の変化と関節間シナジーの関係を検討することを進めている。全体としては、「関節間シナジーに着目した加齢による歩行の変容とその対策」を検討する上で必要なデータの蓄積が進んでいるので、現在までの達成度は概ね順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在計測が終了している若年者及び、高齢の女性被験者における自由歩行中の関節間シナジーと、脚姿勢の可操作性についても解析し、加齢によるつまずきの原因の推定を行う。前年度に引き続き、70歳前後の男性被験者の自由歩行計測するための環境を整え、計測及び関節間シナジーの解析を行う。さらに、高齢女性被験者の自由歩行においても、例数を増やしさらに検討を進めていく。また、性差による加齢による関節間シナジーの変化についても検討を行う。そして、解析した結果を元に、つまずきの多い高齢者の歩行中の転倒予防のためにどのようなリハビリが効果的であるかを検討する。
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Research Products
(2 results)