2016 Fiscal Year Annual Research Report
An Anthropological Study on the Role of Objects in the Development of Catholic Devotion to Saints in Peru
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15H06842
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
八木 百合子 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 機関研究員 (80622133)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | アンデス / ペルー / 宗教 / キリスト教 / 聖人信仰 / モノの生産・流通・消費 / 工芸 / 職人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はペルーにおける聖像の流通ネットワークの解明を目的に以下の調査を実施した。 (1)現在の聖像流通の一大拠点となっているリマの聖具店街の成り立ちについて明らかにするために、リマ市立図書館およびカトリカ大学附属リバ・アグエロ研究所の図書館において、18~19世紀の旧市街地の様子や職業集団に関する歴史資料の収集と分析を行った。その結果、現在、聖具店が集中するワンカベリカ通りは地図のうえではかなり古い時代から存在している点が把握できたが、聖像の販売や制作を担っていた店や職人に関しては、19世紀半ば頃まで記録はなく、19世紀末から20世紀初頭に入り、ようやく聖像販売に携わっていた店に関する情報を数件確認できた。 (2)上記をもとに、リマの聖具店街周辺で聞き取り調査を重ね、20世紀以降に存在した古い店や工房について情報収集した結果、この地域に最初に登場したとみられる工房を同定することができた。また当時は多くが露天商であったという事実も判明し、現在の聖具店街の形成過程を知るうえで重要な情報を得た。 (3)リマの聖具店の各店舗を訪問し、店の成立時期や仕入先となる工房の情報を入手した。 (4)聖具店を訪れる客にインタビューを行い、聖像購入の経緯およびその行先について聞き取り調査を行った。これらの情報から、工房や店舗の関係者以外に聖像の流通に関わる複数のアクターの存在を掴むことができた。 このほか本年度は、本課題にかかる成果の一部を国立民族学博物館の共同研究会において発表した。今後は、これまでの調査結果をもとに、20世紀のペルーにおける聖像流通の発展と聖人信仰の展開との関連性について分析を行い、成果論文として発表を行う予定である。また次年度以降は、本研究をより発展させるべく、現代世界における宗教的なモノの流通をテーマにした共同研究を本格的に開始する予定にしている。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)