2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on drifting of oral tradition Ainu heroic epic
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15H06845
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Research Institution | Hokkaido Museum |
Principal Investigator |
遠藤 志保 北海道博物館, アイヌ民族文化研究センター, 研究職員 (90761635)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | アイヌ文学 / 口承文芸 / 伝承 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、平成27年度の成果として得られたテキストデータを用いて、アイヌ英雄叙事詩のうち「虎杖丸の曲(kutune sirka)」という沙流川流域にて採録・筆録された5種類の異伝テキストについてを中心とした比較分析を行うことを目的として計画していた。 具体的には、「虎杖丸の曲」の5種類のテキストを並べることによって、物語の内容(プロットならびにモチーフ)、登場人物ならびにその呼称、固有名詞の名称などのような物語内容やその構成に関わる点についてと、描写の回数や挿入される位置、くり返しや省略の有無や頻度、対句のような常套的な表現などといった、表現に関わる点についての両面から、各テキストにおける一致点と相違点を、それぞれ一覧表にまとめる作業ならびに考察を行った。 特に表現の違いにかんしては、対象テキストにおける一回性のものであるというよりは、それぞれの語り手による別のテキストにおいても見られる表現の特徴にもつながることが考えられた。そのため、本研究においての目的としていた伝承過程における流動性の問題のみならず、「語り手論」につながるデータ・考察を得られたと言うことができる。これは、今後のアイヌ口承文芸研究において、明確に語られることのなかった分野についての研究の可能性を考えることができたという点で意味深いものであると考える。 なお、以上にあげた研究の成果については、平成29年度中に論文の形にまとめて発表する予定である。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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