2015 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of shear wave velocity structure at shallow ocean bottom, by using synthetic waveforms that rigorously handles the complex structures in the vicinity of seafloor
Project/Area Number |
15H06904
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 亜希子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, 研究員 (70587344)
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Project Period (FY) |
2015-08-28 – 2017-03-31
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Keywords | 南海トラフ / スペクトル要素法 / 海底地震計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)南海トラフ海溝軸付近で実施された海底下構造探査データに対する理論波形の作成、(2)観測波形との比較によるS波速度(Vs)構造を表現するモデルパラメタのグローバルサーチ、の二つの部分から構成される。得られたVs構造と既存のP波速度(Vp)構造を比較し、沈み込み帯浅部の間隙水圧分布を求める。それらの地震活動との関係の解明することを目的とする。
本年度は、主に(1)に取り組んだ。南海トラフで得られた屈折法探査の観測波形に対して、スペクトル要素法を用いて理論波形を作成した。既存のVpモデルに対して、Vsを変化させながら理論波形を作成し、構造探査データのPS変換波が海底下構造に持つ感度を調べた。海底表層の泥層構造を取り入れたケースで、PS変換波が特に大きく変化した。具体的には、海底掘削により見積もられている泥層のVpとVs (Peacook et al., 2010)を使い、厚さ200mの泥層を入れて理論波形を計算したところ、PS 変換波の振幅は、3~10倍増幅した。海底下のVs構造推定の為に、泥層/堆積層を厳密に取り扱うことが重要であることを確認した。
更に、平成27年10月に本研究がターゲットとする海域で、4年ぶりに活発な低周波地震活動が一週間程度見られた。これらの発生は、本課題で取り組む南海トラフ領域の間隙水圧分布と密接に関係すると考えられている。間隙水圧分布を推定する上での重要課題であると考え、低周波地震の震源位置決定の解析を優先した。海底ケーブル観測網(DONET)で捉えらたこれらの低周波地震は、DONETの北東側と南西側の二つのグループに分かれて発生していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、本年度の後半はVLFEの解析を優先した。その為、構造探査データの解析に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度開始したVLFEの解析を、論文としてまとめることを優先する。特に、本課題のターゲットである沈み込み帯浅部構造に対するVLFEの分布を調べる。
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Research Products
(4 results)