2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15J00011
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
渡辺 果歩 和歌山大学, システム工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | インコヒーレントホログラフィ / フーリエホログラフィ / ディジタルホログラフィ / 回転シアリング干渉計 / 位相シフト法 / 空間的インコヒーレント光 / 干渉計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホログラフィの光源に空間的にインコヒーレントな光を用いることのできるインコヒーレントホログラフィの実現はホログラフィックディスプレイや光応用計測のために重要である.本研究では回転シアリング干渉計を用いて空間的インコヒーレント光の自己干渉を利用し,簡易な光学系・単一露光によるインコヒーレントフーリエホログラフィの実現を目指している.今年度は光波の偏光を利用したインコヒーレントフーリエホログラム記録光学系を構築した.回転シアリング干渉計の光路に8分の1波長板を配置された回転シアリング干渉計により,偏光分割により垂直・水平偏光成分においてそれぞれフーリエ変換の実部と虚部である余弦・正弦変換の形のホログラムを取得できる.空間的インコヒーレント光に照明された物体にバックライトがLEDの液晶ディスプレイにパターンを表示したものを用いて光学実験をおこない,垂直・水平偏光成分においてそれぞれ物体の余弦・正弦変換ホログラムが得られることを示した.これらの記録ホログラムの数値再生像から,提案手法が偏光分割を利用することによりインコヒーレント物体のフーリエホログラムを取得可能であり,物体の再生像を取得できることを示した.波長板を用いた偏光成分ごとの記録によりインコヒーレントフーリエ変換ホログラムの取得に機械的走査と空間光変調器が不要となる点は重要であり,直交した偏光成分を用いることはインコヒーレントフーリエホログラムの実部・虚部の同時取得の実現を容易にする点に意義がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,回転シアリング干渉計に8分の1波長板を導入した偏光2チャネル回転シアリング干渉計の構築に成功し,機械的走査と空間光変調器が不要な簡易な光学系を用いたインコヒーレントフーリエ変換ホログラム取得の有用性を実験により実証した.さらに,偏光2チャネル回転シアリング干渉計を用いることによりインコヒーレント物体のハートレー変換ホログラムとその数値再生像も得られることを示した.加えて,簡易な光学系を用いたインコヒーレントホログラフィとしてレンズを用いたマイケルソン型の干渉計を構築し,LEDからの光のフレネルゾーン型の干渉縞をホログラムとして記録できることを実験的に示し,その数値再生像に焦点外れに起因するボケが生じることも示した.これらの成果をとりまとめ国内学会・国際会議において発表している.以上のことから,当初の計画以上に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで提案してきた偏光2チャネル回転シアリング干渉計により得られたフーリエホログラムに高いバイアスレベルが存在し,それにより物体の再生像の品質が劣化する問題の解決手法を検討する.また,回転シアリング干渉計による倍率や被写界深度を考察し,本光学系の特徴である簡易さを活かした応用研究に取り組む.
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