2015 Fiscal Year Annual Research Report
風レンズ風車の革新的最適空力設計法の創出とその適用によるベッツ限界への挑戦
Project/Area Number |
15J00212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 信仁 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | ターボ機械 / 風車 / 空力設計 / 最適化 / ディフューザ / 風レンズ / 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
風レンズ風車では,ディフューザとつばを組み合わせた風レンズ(集風体)を翼車周りに装着することにより高い集風効果が得られる.本研究では,風レンズ風車に適用可能な革新的最適空力設計法を創出することにより,ベッツ限界(風車の理論効率の限界)を超越した高性能風車の実現を目的とする. まず,子午面粘性流れ解析と一次元簡易理論による「風レンズ風車用翼車の空力設計法」と遺伝的アルゴリズム(GA)を組み合わせることにより,風レンズと翼車を連成最適設計可能な「風レンズ風車の多目的最適空力設計法」を構築した.本研究においては,翼の空力負荷のスパン方向分布および風レンズ形状を設計変数とし,翼車の出力係数および風レンズの集風効果係数を評価関数として,最適設計を実施した.本最適空力設計によって得られたパレート最適解の代表ケースについて三次元定常RANS解析を行い,最も性能が優れていた風レンズ風車を試作して,九州大学応用力学研究所の大型風洞により性能試験を実施した.その結果,最適設計された風レンズ風車はベッツ限界を超越する性能を発揮できることが明らかになり,本空力設計法の妥当性が検証できた.この最適設計された風車は,これまで設計された風レンズ風車の空力性能を大きく超える性能を発揮し,世界で初めてベッツ限界を超える性能を発揮した風車である.また,解析結果をもとに流れ場を詳細に分析した結果,風レンズ周りの渦流れ場およびレンズ体内面のはく離現象が風車性能に大きな影響を及ぼすことが判明し,レンズ風車まわりの流れ場に発生する渦やレンズ体内面のはく離を考慮できる本設計法の有用性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに,子午面粘性流れ解析と一次元簡易理論による「風レンズ風車用翼車の空力設計法」と遺伝的アルゴリズム(GA)を組み合わせることにより,風レンズと翼車の両者を連成最適設計可能な「風レンズ風車の多目的最適空力設計法」の構築を終え,本研究の目的であるベッツ限界の超越を実現したため.また,ベッツ限界超越の要因について数値解析および風洞試験において詳細な解析を実施出来たため,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,風レンズ風車に加えて半開放形軸流ファンやターボチャージャー用遠心圧縮機における子午面形状と翼の空力負荷分布の連成最適空力設計に取り組み,本最適空力設計法の有用性および汎用性を検証し,それら研究対象の更なる空力性能の向上に取り組む予定である.
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