2015 Fiscal Year Annual Research Report
水素貯蔵合金を利用したカプセル型マイクロアクチュエータの駆動特性評価
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15J00233
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
後藤 健太 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 水素貯蔵合金 / アクチュエータ / 有限要素解析 / 拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
おおむね順調に進展している。本年度は、(1)実機による測定と(2)有限要素法解析を行った。 (1)実機による測定では、測定装置の製作、水素貯蔵合金を用いたカプセル型マイクロアクチュエータ(HSA-CMA)作製方法の検討、水素貯蔵合金(HSA)箔単体及びHSA-CMAの変位測定を行った。平成26年度までは光学カメラを用いて変位の測定を行っていたが、精度に限界があるため、レーザ変位計を導入するとともに新規評価装置を作製した。本装置を用いて、HSAとして利用するパラジウムの膨張率を測定した。HSA-CMAの作製方法は、カプセルにポリマーを用いた場合とアルミニウム合金を用いた場合の2種類を検討した。水素を導入することで高さ方向の変位が減少し、コンセプト通りの変形が得られていることが確認された。 (2)有限要素法解析による駆動シミュレーションでは、拡散プログラムを作成し、拡散-応力連星解析を実施した。まず、有限要素法解析汎用ソフトのANSYSに、ユーザーサブルーチンとして応力を加味した拡散要素を実装し、応力の影響による拡散挙動の変化を示すことに成功した。さらに、パラメータを受け渡しながら交互に構造解析と拡散解析を行うプログラムを組み、連成解析に成功した。 上記の成果を発表するため、国際学会にて1報、国内学会にて4報の発表を行った。また、国際学会の会議付論文として1報を投稿した。アウトリーチ活動としては、横浜国立大学博士課程後期に在籍する学生が集まる博士会にて学生及び副学長に向けて口頭発表を行うとともに、卒業生を対象としたホームカミングで―でポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、(1)実機による測定として、測定装置の製作、水素貯蔵合金を用いたカプセル型マイクロアクチュエータ(HSA-CMA)作製方法の検討、水素貯蔵合金(HSA)箔単体及びHSA-CMAの変位測定を行った。また、(2)有限要素法解析による駆動シミュレーションとして、解析プログラムの作成及び拡散-応力連成解析の実施を行った。 (1)実機による測定:平成26年度までは光学カメラを用いて変位の測定を行っていたが、精度に限界があるため、レーザ変位計を導入するとともに新規評価装置を作製した。本装置を用いて、HSAとして利用するパラジウムの膨張率を測定した。水素を導入すると、膨張が確認され、その後の排気時には収縮が確認された。HSA-CMAの作製方法は、カプセルにポリマーを用いた場合とアルミニウム合金を用いた場合の2種類を検討した。ポリマーカプセルHSA-CMAは、HSA-CMAのメカニズムを詳細に調査することを目的にし、作製方法を簡易にし、半球カプセル同士を接着剤によって接合することで作製した。また、カプセルにアルミニウム合金を用いたHSA-CMAは、アルミニウム合金箔を重ね合わせた後、加熱することで接合した。これらの作製したHSA-CMAに水素を導入することで高さ方向の変位が減少し、コンセプト通りの変形が得られていることが確認された。 (2)有限要素法解析による駆動シミュレーション:水素貯蔵合金中への水素拡散現象は大きな体積変化を伴うため、合金中の応力の影響を加味する必要がある。そのため、拡散-構造双方向連成解析を行うためのプログラムを作成した。まず、有限要素法解析汎用ソフトのANSYSに、ユーザーサブルーチンとして応力を加味した拡散要素を実装し、応力の影響による拡散挙動の変化を示すことに成功した。さらに、パラメータを受け渡しながら交互に構造解析と拡散解析を行うプログラムを組み、連成解析に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に検討した作製手法、解析手法を用いて、カプセル型マイクロアクチュエータの動的特性を評価する。実験では、静的特性に加えて変形時間や速度等の動的特性に焦点を当てて測定・結果解析を行う。 有限要素法解析では、これまでで開発した予測手法を用いて、負荷変化時の動的特性に及ぼす影響を調査する。さらに、本手法をアクチュエータ用途に限らず水素透過膜などの水素拡散解析に応用し、応力が拡散に及ぼす影響を調べる。特に、固溶水素濃度が高い場合に注目し、相変態の影響や拡散係数などの物性値が与える拡散への影響を明らかにする。 また、カプセル型アクチュエータ以外にも粒子状の水素貯蔵合金を作製、評価する。カプセル型アクチュエータと粒子を用いたアクチュエータの実験及び有限要素法解析から得られた知見を元に、水素貯蔵合金アクチュエータの基礎学理を確立し、設計指針を提案する。 本年度では、既に1報の国際学会発表と2報の国内学会発表が決定しており、3報の雑誌論文への投稿を予定している。
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Research Products
(7 results)