2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロリアクター設計手法の構築と精密合成反応プロセスへの応用
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15J00287
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 周作 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 混合評価 / 3Dプリンター / CFDシミュレーション / マイクロミキサー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はミキサーの設計法について取り組んだ。混合はマイクロ化による高速化の恩恵が大きく、活用事例は多いものの、評価が非常に難しいことが研究開発における障害となっている。 数値流体力学(CFD)シミュレーションを活用することにより、混合と反応の過程を詳細に解析し、それらの関係性を明らかにすることができた。ミキサーの性能を議論する際に、混ざるまでの時間(完全混合時間)は直観的でわかりやすい指標であるが、複合反応系を議論するためには完全混合時間のみでは不十分であることを、シミュレーション結果は示していた。完全混合時間が非常に長くても、迅速に混合が進行する箇所が存在すれば、総括での選択率は良好となったためである。この影響を考慮するために、セグメントサイズ分布という概念を提案し、ミキサーの特性を定量的・定性的に分析することができるようになった。 セグメントサイズ分布の概念をもとにして、高性能なミキサーの設計・操作を行った。3Dプリンターを用いて作製し、Dushman反応によって混合性能の評価を行った。モデルより予測された結果と実験結果が良好な一致を示し、成績も通常のミキサーに比べ秀逸であった。 また、混合速度が見かけの反応速度に与える影響を次元解析で考察し、無次元数によって整理した。混合時間が反応時間と同程度であれば、見かけの反応速度は真の反応速度とほとんど同一となること、混合が反応に比べて遅い場合には、見かけの速度定数は原料比に関係なく落ちていくことが明らかになった。得られた知見は高速反応の解析に大きく寄与するだけでなく、関係性を逆に用いることにより、見かけの反応速度より混合性能を定量的に評価することも可能にすると考えられる。さらに、可視化実験及びインライン吸光測定を行い、混合速度を実測、次元解析から予測される数値と比較検討することで、関係性の実証及びデモンストレーションを成功させた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に複雑かつ重要である混合部分において、数値シミュレーションから可視化実験や反応試験など多方面からアプローチし、設計のためのストラクチャー提示を成功させた。この成果は、反応工学・移動現象論において歴史と権威ある米国化学工学会論文誌(AIChE Journal)に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後必要となるのは、マイクロミキサー設計論から、実際の高機能製品への精密合成への展開である。昨年12月より、米国MITのJensen教授から4ヶ月の研究指導を受け、各種合成法について技能及び知識を習得した。今後さらにサラゴサ大学のSebastian助教とも共同で研究を推進していき、最先端のナノ粒子合成を進めていく。
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Research Products
(3 results)